人口は400人余りで、離島を除けば全国最少。高知県大川村は四国の真ん中、深い山に抱かれる。昨年、「村議会廃止を検討」が全国ニュースになった

▼高齢化もあり、来年の村議選で候補者が足りず議会が成立しない恐れがあった。そこで和田知士(かずひと)村長(59)が提案したのが「村総会」。有権者が集まって予算などを審議する直接民主制の仕組みだ。ただし前例は少なく、運営ルールもない

▼大川村は上空に米軍機の低空飛行訓練ルートがあり、5年前に取材で訪ねた。今回、電話で答えてくれた和田村長は「みんなが村政に無関心、無責任なら村が消滅してしまう。喚起するために言った」という

▼「投票したい人がいないなら、探して出してほしい。人ごとではなく自分ごととして考えて」。訴えが届いたのか、新人出馬の動きがあるという。総会導入の検討は取りやめた

▼沖縄も人ごとではない。統一地方選はピークの今週、26市町村の議員選が告示される。このうち渡名喜村は人口が大川村とほぼ同じ。宜野座村と伊平屋村は1カ月前まで候補者が足りなかった

▼棄権すれば「議会なんていらない」という意思表示になる。代わりに直接民主制の責任を引き受けるか。やりがいも大変なこともありそうだ。選択の前に一度、議会のない未来を想像してみるのがいいかもしれない。(阿部岳