全国的に低迷が続いてきたビール類の販売だが、ここに来て「クラフトビールブーム」など市場に活性化の兆しが見える。大手が将来的な酒税の税率縮小をにらみ、クラフトビールで需要の掘り起こしに挑む一方で、1994年の規制緩和以降、相次いで参入した小規模な醸造所も着実に技術力を高め、地道に市場を開拓。県内でも人気が高まるクラフトビールの最新事情を探った。

ビアフェス沖縄2018でクラフトビールを飲み比べ、テイストを楽しむ来場者=7月27日、那覇市久茂地・タイムスビル

 キリンは2014年に「クラフトビール戦略」を発表。15年に代官山と横浜に、17年に京都にビアレストランを開業。さまざまなクラフトビール販売に力を入れてきた。

 「ビール類にはビール、発泡酒、第三のビールと3種の税率があるが、段階的に縮小し26年に350ミリリットル当たり54円強に一本化される。販売の半分を占めるビールの税率が下がり売れるようになりそう。クラフトビールに力を入れ、ビール見直しへの起爆剤にしたい」とキリン広報の兵頭俊昭さん(37)は話す。

 アサヒビールも1990年代からクラフトビールを手掛け、サントリーとサッポロビールは2015年に実質参入。オリオンビールも同年、初のクラフトビール「琉球ペールエール」を発売している。

 クラフトビールを巡っては1994年の酒税法改正で、酒類製造免許取得のために定められている最低製造量が年間2千キロリットルから60キロリットルに引き下げられ、新規参入が急増。一時全国に300社以上のメーカーがひしめいたが、安易な参入による品質低下や割高感からブームは一度沈静化した。

 しかし、地道に技術を磨き続けたメーカーは生き残り、多少価格が高くても品質の良いビールを飲みたいという新たなニーズを獲得。県内でも現在、7醸造所がこだわりのビールを生産している。

 今年7月、那覇市のタイムスビルで県内外の醸造所が出店した「ビアフェス沖縄2018」は、3日間で1380人が来場。事務局を務めたヘリオス酒造の渡嘉敷吏さんは「5回目だが、例年以上の数」と盛り上がりを実感。目を引いたのは約半数近くを占めた女性客で「ワインを味わうような感覚で、1杯ずつビールの個性を楽しんでいた」と手応えを語った。

 那覇市壺屋でクラフトビールを提供する「Taste of Okinawa」を経営する沖縄エクスカージョンズの護得久朝晃社長は「県内でも認知度は上がっているが、この地域でしか飲めないビールを求めて来店する欧米人も多い」と、観光との相乗効果にも期待した。