日本銀行那覇支店(桑原康二支店長)は7日、「1人当たりの県民所得」を基に分析した県経済の課題について発表した。「マクロ的にみると『労働者の取り分』も『企業の取り分』も全国より低い水準のまま不変であることが示唆される」と指摘。好景気を追い風にして企業の稼ぐ力を高め、雇用者の待遇改善につなげるべきだと提案した。

(資料写真)沖縄県

 「県民所得」は、(1)県内企業の利益(2)雇用者の報酬(3)個人が得た株式配当など―を合計して算出する指標。都道府県版のGDP(国内総生産)に相当する。

 内閣府が8月に発表した2015年度データ(県民経済計算)によると、1人当たりの県民所得は1位東京都、2位愛知県、3位三重県で、東京都を除けば製造業が盛んという特徴がある。沖縄は、製造業に比べると労働集約的で生産性が低くなりがちな第3次産業が中心。そのため、沖縄の1人当たりの県民所得が全国44位にとどまるのは「ある程度は不可避」だという。

 一方で、日銀那覇支店は「県民所得を上げる余地は少なくない」と分析する。

 県民所得のうち「労働者の取り分」(労働分配率)をみると、2008年のリーマン・ショック後、全国では低下傾向が続いている一方、沖縄はおおむね横ばいとなっている。一般的に、労働者の取り分は労働集約的な非製造業や中小企業が多いほど大きくなるため「沖縄の産業構造を踏まえれば、全国水準をもっと上回っていても不思議はなかった」とみる。

 「企業の取り分」(売上高経常利益率)をみてみると、リーマン・ショック後はほぼ一貫して全国水準のほうが沖縄よりも高い状態。本土企業は、リーマン・ショックのトラウマが大きかった分、雇用者に支払う報酬を抑えて内部留保を手厚くしている可能性があるという。沖縄は企業の姿勢に大きな変化が生じなかったとみられ、結果として、労働者の取り分と企業の取り分の両方が全国水準よりも低い状態だと考えられるという。

 現状を踏まえて同支店は「企業の取り分を削って労働者に回しても解決策として長続きしない」と指摘。景気が60カ月連続で拡大しているにもかかわらず、企業の稼ぐ力は必ずしも向上していないとして「収益力を高めて雇用者の報酬につなげる経営への転換が不可欠」と結論付けた。