タイムス×クロス コラム

沖縄県知事選:争点隠しや内ゲバをやめ、歴史の大局に立った政策論を 

2018年9月14日 07:03

論点を整理すると

 基地問題の議論が低調なのは、基本的な知識が一般化していないことに原因があると筆者は考えている。沖縄基地の実態を知る人は少ないからだ。県内外の政治家もほとんど知らないのが現状だ。十分な知識を持たない人たちが沖縄問題をこねくり回すのは、病名を知らないで手術をするヤブ医者のようだ。

 ある問題を認識し、解決策を導き出そうとするとき、まずは問題の中身を吟味する。企業が経営を立て直すとき、実態を把握し、改善に向けた複数の選択肢から最善の策を選ぶのが当たり前の手順だ。基地問題は現状把握さえなされているとは言い難い。

 基地問題を語るとき頻出する「普天間」「辺野古」「那覇軍港」「オスプレイ」といった施設名はすべて海兵隊のものだ。仮に県議会決議の「海兵隊の県外・国外移転」が実現した場合、基地・沖縄の風景は一変する。海兵隊は在沖米軍基地の実に約7割を占有しているためで、これが撤退した後に残る基地は、米空軍嘉手納基地、嘉手納弾薬庫、陸軍トリイ通信基地(読谷村)、海軍ホワイトビーチ(うるま市)になる。その結果、米兵による殺人、レイプ、ヘリとオスプレイの騒音、不時着が大幅に減り、基地問題はほぼ嘉手納の騒音だけとなるだろう。

 海兵隊が沖縄から本土やグアム、ハワイなど国外へ移転しても米軍きっての即応能力を誇る海兵隊は任務を継続できる。沖縄には極東最大の嘉手納があり、海兵隊撤退論はさほど高いハードルではないはずだ。

 米軍基地の現状を整理する。

(1)政府は普天間飛行場の危険性を認識し、移転先として名護市辺野古岬の沿岸部を埋め立てる計画だ。1日も早い普天間閉鎖を実現するには辺野古埋め立てが「唯一の選択肢」としている。しかし移設先が用意されなければ普天間は返還されず、辺野古新滑走路の建築には順調に進んでもこの先10年を要するといわれている。普天間周辺の危険は今後も長く放置される。

(2)辺野古埋め立ては、滑走路など上物の整備を含めて総事業費は1兆円を超えると言われている。それほどの血税を投じる事業の効果とは何かがつまびらかにされていない。

(3)辺野古の新滑走路を使う海兵隊は、米軍再編によって大幅に縮小され、実戦兵力は現在の7分の1に激減することが決まっている。その部隊は長崎県佐世保にある米海軍の艦艇に乗り、年間の半分以上を海外遠征し、沖縄不在が多い。そんな小部隊のために辺野古を埋める意味があるのかあいまいなままだ。

(4)米側は過去に部隊の本土移転を日本政府に打診したが、政府は拒否した。安倍政権もオスプレイの飛行訓練の一部を佐賀空港へ移転しようと試みたが地元の反対で断念。今年2月の衆院予算委員会で安倍首相は「移設先となる本土側の理解が得られず、さまざまな事情で(沖縄基地問題は)目に見える成果が出なかった」と答弁、本土側の反基地が沖縄の負担軽減を阻んでいる現状を認めた。佐賀では県民大会は開かれていない。

(5)そもそも海兵隊は1950年代に朝鮮半島情勢を警戒するため、岐阜、山梨、静岡など本土に配備された。ところが、地元住民らの反対運動などで1956年、沖縄に移転してきた。朝鮮半島から遠い沖縄への配備は軍事的な事情ではなく、日本の内政問題が主要因だった。沖縄に海兵隊を運ぶ船や輸送機は当時もそして現在も沖縄に無く、海兵隊が出撃するときには米本国などから大型輸送機が来るのを待つしかない。

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