タイムス×クロス コラム

沖縄県知事選:争点隠しや内ゲバをやめ、歴史の大局に立った政策論を 

2018年9月14日 07:03
北中城村喜舎場の西端から瑞慶覧にかけてブルドーザーでしきならされ、米軍人の住宅街が何百戸と建設された。このため瑞慶覧は集落から田畑、原野にいたるまで軍用地に接収された

(6)在沖海兵隊の兵力は1990年前半まで22000人ほどだったが、冷戦終結で4000人減り、現在は18000人。そして米軍再編により2025年から30年ごろまでにかけて8000人ほどがグアム、オーストラリア、ハワイなどへ分散移転することが決まっている。

(7)沖縄に残るのは司令部のほか「海兵遠征隊」と呼ばれる小ぶりな機動部隊の任務は限定的だ。アジア諸国の同盟国、友好国などとの多国間共同訓練を実施しながら、地域安保のネットワークづくりに努めている。近年は中国軍も積極的に訓練に参加し、いまは常連となっている。

 これらの事実を踏まえれば、海兵隊が沖縄に駐留する軍事上の必然性は見当たらない。まして「抑止論」に絡めるのは事実をねじ曲げている。安倍首相も認めるように、本土が嫌がるから沖縄の負担が固定化される。これが基地問題の真相であって、本土の反基地が沖縄の抵抗を許さないという歪んだ構造をどう修正していくかが沖縄の政治家に課せられた使命ではないか。

 本土の反基地闘争で海兵隊が沖縄にやってきた50年代半ば、「銃剣とブルドーザー」と称される米軍の土地強制接収があった。家と土地、財産を奪われた住民に与えられたのは野戦テント1張り。当時、沖縄県民にとっては「土地問題」であり、反基地、反安保などの政治的な主張ではなかった。生活の基盤、命、尊厳をかけた戦いだった。

 そして「島ぐるみ」の運動が沸き起こり、保革の別なく土地闘争が広がった。沖縄の自民党重鎮で知事を3期努めた西銘順治氏は東大を卒業し外務省に入省したが米軍圧政下の故郷を憂い、沖縄に戻った。沖縄市の桑江朝千夫市長の父親、朝幸氏は土地を奪われた地主を組織化し、米軍政府と激しく折衝した。

 いま沖縄が直面する現実は、半世紀前の米軍による「銃剣とブルドーザー」に似た光景だ。安倍政権が民意を無視し、海を奪おうとしている。そして当時もいまも、為政者に擦り寄り、犠牲に見合う補償を求めようとする現状肯定派と、それに抗う反対派が対立する。

 この局面で選挙戦術の「争点隠し」や個別基地の移設問題で賛否に分かれて内ゲバをやっている場合ではないはずだ。玉城、佐喜真両氏とも歴史の大局に立って問題解決に向けた具体的な政策論を活性化してほしい。このままでは問題の火種が次の世代へと持ち越されるだけだ。

前の記事へ 次の記事へ
沖縄関連、今話題です(外部サイト)
JavaScriptをOnにしてください
注目トピックス
大久保寛司が語る人と経営みらい塾
大久保寛司が語る人と経営みらい塾
お陰様で11周年目を迎えます。 今年も受講生が期待できるテーマを準備して引き続き開催致します。
食の多様性で観光立県 県内の取り組みをご紹介!
食の多様性で観光立県 県内の取り組みをご紹介!
国際観光都市を目指す沖縄。食の多様性への対応が求められています。その最前線を取材!
LINE@公式アカウント紹介企画
LINE@公式アカウント紹介企画
企業や団体の「LINE@」を紹介! 友だち追加でお得な情報やクーポンをゲットしよう!!
しまくとぅば広告
しまくとぅば広告
消滅の危機にある「しまくとぅば」をもっと使おう!
週刊沖縄空手が読み放題
週刊沖縄空手が読み放題
空手発祥の地・沖縄から毎週発信! 電子版で「週刊沖縄空手」が世界のどこでも読めます。
今日もがっつり!運転手メシ
今日もがっつり!運転手メシ
沖縄タイムスの運転手がつづるグルメブログ。「安い」「おいしい」「腹いっぱい」の食堂や総菜屋さんを紹介します。
マンガ家大城さとしが行く!沖縄のじょ~と~企業探訪
マンガ家大城さとしが行く!沖縄のじょ~と~企業探訪
おばあタイムスでおなじみのマンガ家・大城さとしさんが長編マンガで沖縄の企業を紹介するシリーズ企画です。
命ぐすい 耳ぐすい
命ぐすい 耳ぐすい
沖縄県医師会の各分野の医師による医療・健康に関するコラム
アクロス沖縄
アクロス沖縄
東京発 各分野で活躍する情熱県人らを紹介
ワールド通信員ネット
ワールド通信員ネット
世界各国の沖縄県系人の話題を中心に、海外通信員が各地のニュースをお届けします