沖縄のさらなる経済成長に向け、取り組まなくてはならないことは多い(写真提供:ゲッティイメージズ)

 今月末の知事選に向けて熱を帯びてきた沖縄県。基地問題だけでなく、経済振興についても選挙の大きな争点になっている。佐喜真淳氏、玉城デニー氏の両候補とも各々の経済政策を訴える。事実、沖縄の経済成長に向けて取り組むべき事柄は山積みである。

 沖縄最大の産業である観光業は、2017年度の入域観光客数が958万人、観光収入が6979億円と過去最高を更新中だが、一方で課題も浮き彫りになっている。例えば「空港問題」だ。

 観光客の大半を受け入れる那覇空港のキャパシティは既にオーバーしており、悲鳴を上げている。というのも、自衛隊機などを含む飛行機の発着回数は年間15万回以上もあるのに対して、那覇空港には滑走路が1本しかなく、発着回数のピークはとっくに過ぎている。需要増に応じてもっと便数を増やしたくても増やせない状態なのだ。また、ハイシーズンにはこの小さな空港の内外に人が溢れ返る。搭乗時の手荷物受付のために長蛇の列ができるのは常だし、外は送迎のクルマなどで大混雑する。

 やっと空港を抜け出したかと思えば、都心から郊外へ延びる幹線道路は慢性的な渋滞。これも観光客の満足度を著しく下げる原因につながりかねない(関連記事:好調な沖縄観光産業、しかし課題も噴出)。

写真を拡大 大混雑する那覇空港

 沖縄には産業構造上の問題もある。内閣府によると、2013年度の沖縄の産業割合は、第一次産業(農業、漁業、畜産業など)が2%、第二次産業(製造業、建設業など)が14%、第三次産業(宿泊業、飲食サービス業など)が84%(全国平均73%)と大きな偏りが見られる。サービス業はパート・アルバイトなどの非正規労働者が多いほか、繁忙期と閑散期のバラつきがあって安定的な雇用が難しいといった懸念もある。なお、沖縄の非正規は過去最多の25万3800人で、非正規社員率は全国一だ。当然、他の都道府県との所得格差も大きい。

写真を拡大 沖縄県の産業割合、および労働生産性の推移(出典:内閣府)

 経済を成長させるためには、このような問題点とも向き合わなくてはならない。そうした中、沖縄の産業改革を目指して2018年7月に立ち上がったのが、「沖縄ITイノベーション戦略センター(IT Innovation and Strategy Center Okinawa:ISCO)」だ。

 ISCOは、各産業分野へITを応用し、新ビジネスや新サービスの創出を図るというビジョンの下、自治体と民間企業が共同で設立。総費用は3億5500万円で、内訳は県が1億5000万円、那覇市が1000万円、その他はNTTドコモ、ソフトバンク、沖縄セルラー電話、NEC、日立製作所、沖縄電力などの企業が出資した。

 1998年9月に策定された「沖縄県マルチメディアアイランド構想」以来、沖縄では情報通信(IT)を観光に次ぐ産業の柱としている。IT産業を育成するために、こうした官民共同の事業は過去にいくつも存在したわけだが、ISCOは今までとは主旨が異なるという。