沖縄の子どもの3人に1人が貧困。全国の7人に1人と比べて2倍近い。他県なら知事選最大の争点になってもおかしくない課題だ

▼告示日の第一声、佐喜真淳、玉城デニー両氏とも子どもの貧困対策に触れ「撲滅」「断ち切る」と決意を示した。だが政策に大きな違いはなく、論争が深まっているとはいえない。国や県の現行の対策は有効か、十分か、このまま進めれば解決するのか

▼新知事に期待する子ども政策を話し合うシンポジウムが那覇市内であった。登壇者は現行の緊急対策だけで解決は難しく、教育・福祉予算を増やした上で既存事業の拡充が必要と提言した

▼国の補助事業が増えると、事業費の市町村負担分を捻出する必要があるため、一般財源の教育や福祉の予算が削られる。実際、市町村の中には財政事情を理由に小中学生の就学援助を縮小する動きも出てきた。かといって国の一括交付金は既存事業の拡充に使えない。沖縄振興の構造的な矛盾が「本末転倒」の状況を招いている

▼県子ども総合研究所の堀川愛所長は「子どもの貧困でなく子どもの権利、人権の問題」と言う。貧困か否かで子どもを分ける支援が新たな分断につながる恐れもある

▼「貧困対策で貧困はなくせない」という言葉もある。社会の構造を見直し、全員を対象にした継続的な子ども政策が必要だ。(田嶋正雄)