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ウチナーアイデンティティー 翁長雄志氏に感じた一体感【てい子トゥーシーのユンタクハンタク 55】

2018年9月24日 09:08

 アイデンティティーは米国で一般に人種、文化、言語、社会、思想などの面を指す。米国で自己主張する時、その必要性は意識せざるを得ない。幼児から「I My Me」で自己主張するように周囲から学ぶのだ。

(左から)逸子(親川)アサトさん、稲嶺進さん、筆者、翁長雄志さん、英子(照屋)フィーエールさん=2015年6月、ジョージ・ワシントン大学のゲルマン図書館

 小学高学年や中高校生はクラスで社会科の教科書とは別に、年齢相応の時事問題を話題にし、討論会もある。それらは「Street Smart(ストリート・スマート)」と言い常識を育てる。

 ニューヨークは多様な人種・言語・文化のるつぼで、自分の祖先の出身国や人種を背景に「何世だ」と文化の自慢話で盛り上がる。海外のウチナーンチュも、沖縄の芸能や文化、食べ物などがアイデンティティーを形成する。

 本土出身でニューヨーク県人会にも参加するメディア関係者が、沖縄のアイデンティティーについて「沖縄は歴史的に人を歓迎する。『琉球のぶれない芯』を守ってきた歴史がある。開放的で物を与えても見返りを期待しない」と表現したことがある。

 年をとると、親や実家がなくなっても郷愁は募るもの。タコライスよりもカンダバージューシー(芋の葉の雑炊)を思う。そして島ンチュとしての尊厳を保ち、凜とした沖縄のリーダーの姿勢は、海外のわれわれにとっても誇り高き存在である。それが沖縄のアイデンティティーの維持・強化にもつながるのだ。

 2015年に当時、沖縄県知事だった翁長雄志氏を表敬訪問できたことは貴重な体験だ。新民間大使として、是が非でも翁長氏に直接会いたかった。

 提出した申請書には、ウチナーンチュアイデンティティーの強い知事と、地球の裏側でも同じ志の1世たちが存在しているという認識を分かち合いたい-との思いを書いた。海外のわれわれウチナーンチュたちは、島のリーダーが本土の代表者と対等に意見交換できる凜とした人格者であることを望んでいる。ウチナーンチュとしての誇りを知事を通して分かち合いたいからである。ほかにも、この訪問で力をもらった者としてニューヨーク県人会の会員たちに報告することや、訪問を16年の世界のウチナーンチュ大会に向けての動機にしたい-などと具体的に書いた。 

 翁長氏と会って話すと、同じウチナーンチュだと強く感じ「イエス、アイデンティティー」と叫んでいた。英語で強調したせいか、知事は目を丸くして私と視線を合わせた。想像以上の報道陣や県庁の関係者に囲まれていたので、ウチナーグチや文化普及の話題に方向転換したが、アイデンティティーについて感じられたのはうれしかった。それから7週間後、ワシントンDCに団体で訪問した翁長氏に歓迎会で再会できた。2カ月後には国連で、単刀直入で明解な英語スピーチで訴えた翁長氏をあっぱれだと感じた。 ウチナーンチュとしてのアイデンティティーはわれわれにとって原動力であり、それが異国でしぶとく生きる志を引っ張っている。このエッセーを書きながら翁長氏の数々の写真を見た。私なりに冥福を祈りたい。(てい子与那覇トゥーシー)

沖縄県知事 翁長雄志の「言葉」

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