自民党の杉田水脈衆院議員が月刊誌「新潮45」で同性カップルを「生産性がない」などと主張し批判された問題で、同誌最新号が今度は「そんなにおかしいか『杉田水脈』論文」と題する特集を組み、また批判を浴びている。

 特集の中で寄稿者の一人である文芸評論家は同性愛を「全くの性的嗜好(しこう)ではないか」などと書く。どの性を愛するのかという「性的指向」と、性的趣味を示す「性的嗜好」を混同しているとしか思えない考えだ。

 さらにLGBT(性的少数者)の権利を擁護するなら、「痴漢」が「触る権利を社会は保障すべきでないのか」などと論じている。

 無理解による偏見であり、当事者への配慮を欠いた表現と言わざるを得ない。

 新潮社と関わりの深い小説家からも批判の声が噴出し、新刊書籍の販売を取りやめる書店も出た。

 佐藤隆信社長は「あまりに常識を逸脱した偏見と認識不足に満ちた表現」と異例のコメントを発表した。だが、どこが差別的な表現なのかには触れず、当事者への謝罪の言葉もなかった。

 杉田氏を巡る問題で自民党は8月、ホームページで指導したと明らかにしたが、処分しなかった。二階俊博幹事長は「いろんな人生観もある」と容認し、安倍晋三首相も総裁選で「まだ若いですから」とかばうような発言をした。自民党のうやむやの対応が差別をさらに助長する発言につながっているのではないか。

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 「生産性がない」との発言に対し全国各地で抗議集会が起き、批判の声が広がった。

 今回の知事選で前宜野湾市長の佐喜真淳氏、前衆院議員の玉城デニー氏ともLGBT支援について、公約に書き込んでいる。

 佐喜真氏は、福祉政策に「LGBT等のマイノリティーへの理解」と記述。「性的指向や性自認を理由とする差別をなくするため、理解の促進を図る。性の多様性を受け入れ、尊重する環境づくりを行う」としている。

 玉城氏は、主要政策の中で「沖縄県LGBT宣言」を盛り込む。「すべての県民の尊厳を等しく守る。個々の違いを認め合い、マイノリティーを排除せず、互いに尊重しあう共生の社会づくりを進める」とうたう。

 すでに那覇市をはじめ、全国9自治体が同性カップルを夫婦と同じような関係と認める「パートナーシップ登録制度」を導入している。県全体としての取り組みが課題だ。

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 国内でLGBTに該当するのは人口の約8%という調査がある。13人に1人の割合で、決して少数者ではない。

 自民党内には伝統的家族観を支持する政治家が多い。自民党から推薦を受ける佐喜真氏からは杉田氏の寄稿に対する意見を聞きたい。

 玉城氏は少数者に配慮し、多様性に富んだ共生社会を目指すという。「違い」をどう強みに変えていくか。具体的に語ってほしい。

 多様な生き方の尊重は世界の流れである。マイノリティーの人権の課題にどう取り組むか注視したい。