大弦小弦

[大弦小弦]地球侵略を企てる宇宙人が、それを阻むウルトラマンに問う…

2018年9月25日 07:22

 地球侵略を企てる宇宙人が、それを阻むウルトラマンに問う。「貴様は宇宙人なのか、人間なのか」。変身前のハヤタが言い切る。「両方さ」。ウルトラマンを生んだ脚本家・故金城哲夫さんの出身は南風原町、育ちは東京。「沖縄と本土の懸け橋になる」との口癖を表した場面といわれる

▼金城さんの生涯を描いた劇団民藝の舞台「光の国から僕らのために」が県内で上演中だ。南風原で幕が開け、10月1日まで各地を回る

▼怪獣を一方的な悪者にすることを嫌った。暴れるのにはそれなりの理由があるとの視点を忘れず、ファンタジーに昇華させた脚本で50年以上続くシリーズの礎を築いた

▼劇はそんな栄光物語にとどまらない。その後の作品で人気が低迷し円谷プロを追われ、失意のまま帰郷。沖縄でも苦悩を深め、身を滅ぼす様を描く

▼沖縄海洋博の総合演出を手掛けるも、本土資本と住民の板挟みに苦しむ。「お前はヤマトーンチュなのか、ウチナーンチュなのか」。「両方だ」との返答は弱々しい。絶望の果ての独白は「俺は、ウルトラマンじゃない」

▼金城さん役の齋藤尊史さんは「沖縄の人たちにどう受け止めてもらえるか、緊張している」と話す。金城さんを追い詰めたものは何か、彼が果たせなかった懸け橋はどうすれば築くことができるのか。本土の役者たちが問い掛けている。(磯野直)

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