今年の受賞には納得させられた。見てくれは決して美しくはないが、発想には恐れ入る。ユニークな科学研究などに贈られる「イグ・ノーベル賞」。座った姿勢で大腸内視鏡検査を自ら試し苦痛が少ないことを実証した昭和伊南総合病院(長野県)の内科診療部長堀内朗さんが受賞した

▼大腸がんを減らしたい思いで、「検査のハードルを下げ、気軽に受けられるようにしたい」と試行錯誤してきた。体を張った研究が評価された

▼イグ・ノーベル賞は、ユーモアたっぷりでときには理解に苦しむような研究も多いが、選考基準が面白い。「人々を笑わせ、そして考えさせる」。シンプルだが簡単なことではない

▼チェルノブイリ原発事故の被害者を治療した医者は、どこでも手に入るガスマスクに変形できるブラジャーを発明。自然治癒力の豊かな感情を利用し、キスをすることで皮膚アレルギー反応の低減を実証。見え方の変化を研究した股のぞき…。笑いの中にある熱意と着想に学ぶことは多い

▼堀内さんの座位検査は「恥ずかしい」と不評で普及には至らなかったが、受けてみたいと思った人も少なくないと思う。何より患者の負担を減らそうという探究心に頭が下がる

▼ユニークな発想やアイデアはどんな仕事にも必要だ。凝り固まった脳みそを賞の足跡を振り返ることでほぐしたい。(赤嶺由紀子)