今年4月時点で認可保育所に入れない県内の待機児童は1870人に上った。昨年より400人近く減ったものの、割合は全国ワーストだ。

 選挙戦で主要な論点になっているとはいえないが、わが子を保育所に預けられるかどうかは、親たちにとって切実な問題である。候補者には、「ゼロ」への道筋を具体的に語ってもらいたい。

 厚生労働省のまとめによると、県内の待機児童数は東京都の5414人、兵庫県の1988人に次いで全国で3番目に多い。

 待機児童数を申込者数で割った待機児童率は3・26%と突出して高く、2番目の東京、3番目の兵庫を大きく上回っている。中でも南風原町、西原町、南城市、うるま市、沖縄市は5%を超えるというから驚く。沖縄は全国一公的保育所が不足している県なのだ。

 子育て環境を巡る課題に、県や市町村も手をこまねいているわけではない。昨年に比べ保育所は約100カ所、定員は約5千人増え、受け皿整備が進む。しかし増加のスピードには追い付けない。

 県が掲げる目標は、2019年度末までの待機児童ゼロ。ただ来年10月に保育料の無償化が実施されれば、利用希望者がさらに増えるのではとみられている。

 すべての子どもは、よりよい保育を受ける権利があり、行政にはサービスを提供する責務がある。

 予算や人を集中させるなど「異次元」の対策が必要だ。

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 それにしてもちぐはぐなのは、待機児童が多いにもかかわらず、定員割れが起こっていることである。県全体では定員枠より利用児童数が約1600人も少ない。

 昨年4月、那覇市で新設園を中心に多数の定員割れが生じた際は、エリアによる保育所の偏在と保護者ニーズとのミスマッチが指摘された。

 地域別、年齢別の保育需要はもちろん、今の整備計画で十分なのか、点検を急いでほしい。

 政府が進める「企業主導型保育所」でも同様に定員割れが問題となっている。充足率は全国平均で49%と半分以下、那覇市は60%だった。

 従業員が一般の認可園を選んでいるという事情もあるようだが、ここでも需要と供給のミスマッチが起こっている。

 目指すべきは、保護者に選ばれる保育所づくりである。

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 知事選の公約に、前宜野湾市長の佐喜真淳氏(54)は「待機児童ゼロ」を盛り込む。前衆院議員の玉城デニー氏(58)も「待機児童ゼロ」を訴える。どちらも子育て支援策の柱の一つと位置付けている。

 沖縄の深刻な待機児童問題は、戦後、米軍統治下に置かれた影響による保育政策の立ち遅れに起因している。

 近年、深刻化する保育士不足の解消には、給与アップを含めた待遇改善が不可欠である。

 子育て環境を整え、女性たちが活躍できる社会をつくることは、少子化対策にもつながる重要な政策だ。