「群衆」の「力」は恐ろしい。昨年、映画「米軍(アメリカ)が最も恐れた男 その名は、カメジロー」の初日、押し寄せる観客にさえ、一瞬、恐怖を覚えたほど。

「1987、ある闘いの真実」の一場面

 1987年韓国。国民は個々の利益を捨て、一つの意思を持った群衆として権力に挑み、勝利を収めた。その裏表を明らかにした作品。

 きっかけは警察に連行された一人の学生の不可解な死。権力が隠蔽(いんぺい)した死の真相は暴かれ、これまで国民がため込んだ怒りを解き放つ引き金となった。

 「怒り」が群衆を一つにし、膨大なエネルギーを生む。いつの世もそうだ。悲しすぎる。私は常々思っている。「怒りすぎるとブスになる」と。怒りは心をむしばむから。ただ、自分のためじゃなく、どうしても怒る必要があるとき、清く正しく美しく戦える私でありたいと思った。(桜坂劇場・下地久美子)

◇桜坂劇場で29日から上映予定