県知事選挙を前に首里東高校で開かれた3年生対象の主権者教育の授業を見学した。「どんな人に投票したいか」の問いに返ってきたのは「県民の意見を尊重してくれそうな人」「何かを変えてくれる人」など素直な答えばかり

▼クラス34人中18歳が17人と半数で、生徒たちにとり選挙は既に身近なものになっている。一方で「民主主義を日々の生活で感じることは少ない」とも

▼沖縄の住民が初の主席公選で民主主義を実感したのは、ちょうど50年前。他の都道府県で知事が選ばれてから21年もたった後だった。沖縄では、地域の未来を住民が選ぶ「自治」は神話だと決めつけられたこともあった

▼県知事の仕事は自治を実現できるかにある。多くの人々の声を吸い上げ、よりよい地域をつくること。それに尽きる。高校生の回答にもあるように

▼「知」という漢字には、祭事の用具として矢をそなえて天の声を聞き、神に誓う意味があるとされる。中国で「知事」が統治者の役職名として使われるようになったのは、10世紀に成立した宋代の時期という

▼太平洋戦争が終わるまで、日本の知事は中央政府という「天」に従う存在だった。時代は下り現代の知事が耳を傾けるのは、1票を等しく手にした有権者の声。きょうは4年に1度、主権が私たちの手の中にあることをあらためて確認する日だ。(玉城淳)