シンポ「しまくとぅば復興への取り組みと出版物」が22日、県立博物館・美術館であった。復興の機運を受け、県内各地で発行された読本などの出版物について、関係者が地域に即した工夫や使い方の特徴を紹介、継承の可能性を討議した。18日のしまくとぅばの日に合わせ、普及継承活動に取り組むグループ「しまくとぅばプロジェクト2018」が企画した。主催・沖縄美ら島財団。

しまくとぅばを学ぶ本に関わった人々が制作の工夫や課題を討議したしまくとぅばプロジェクトシンポ=県立博物館・美術館

 2013年に那覇市は『使って遊ぼう しまくとぅば-ちかてぃ あしばな しまくとぅば』を制作。15年には、県が小中学生向けに『しまくとぅば読本』を発行。各自治体は児童生徒や大人向けに、さまざまな本を出版してきた。執筆や編集を担当した人々が初期の頃の制作の難しさや地域事情に合わせた工夫などを重ねていることを話した。

 那覇市の先駆的な取り組みを担当したフリー編集者の宮城一春さん。翁長雄志市長(当時)の「ハイサイ・ハイタイ運動」を受けて、小学校の低学年と高学年、さらに教師用に活用事例集と3種類を制作した。

 当時の企画案を披露し、研究者とより親しめるように試行錯誤しながらつくりあげた。「子どもたちが、学校や日常で、しまくとぅばを使いたくなるような編集を心掛けた」という。そのため、登場人物を那覇市壺屋在住で、神原小学校と同中学校に通学するきょうだいに設定。学校や家族の中での場面を通して、しまくとぅばを学ぶことができるよう工夫を凝らしたた。自治体の先駆けとなった取り組みは、「その後の沖縄県、豊見城市の編集発行の緒となった」と強調した。

 琉球大学の中本謙教授は県教育委員会による高校生向け副読本の改訂について説明。「1996年の物は『沖縄の方言』の項が4ページしかなかったが、2014年改訂で100ページに増えた。方言の豊かさや古典学習のつながり、言葉の保存継承を目指した内容だ」と説明した。具体的には「琉球方言」の特徴、日常生活での使用法を那覇、瀬底、宮古佐良浜の言葉の音声を付けて紹介。さらに芥川龍之介の「蜘蛛(くも)の糸」沖縄語対訳も収録した。

 中本教授は各学校の実践を調査しており、普天間中での県読本を用いた国語の授業例を紹介。「4時間を学び、うち1時間はしまくとぅば普及センターの講師が実演した」と紹介。生徒は学んだ内容や問題意識を新聞型式にまとめた。

 「読本を通じて、各地域の言葉の豊かさを示すことができた。言葉が地域の財産であることを、学ぶことで、環境や社会、文化に理解を深められる」と指摘。学校は多様な実践を行っており、「今後、しまくとぅば普及センターがネットワークを構築し、教育実践の経験を蓄積してほしい」と期待した。

 琉大の當山奈那准教授は豊見城市の読本について、沖縄国際大学の西岡敏教授は、2018年のブックレット化の取り組みについて紹介した。仲原穣さん(大学非常勤講師)がコーディネーターを務めた。