動きの遅い「秋台風」の24号が直撃した沖縄地方では29日、本島が丸一日暴風域に入り、猛烈な風と雨が長時間吹き荒れた。各地でけが人が出たほか、道路の冠水や倒木、建物の損壊が相次いだ。公共施設に開設された避難所では、台風が過ぎ去るのを待ちながら不安な一日を過ごした高齢者の姿も。同日午後10時現在、23万世帯を超える広範囲な停電が続き、公共交通機関も終日ストップするなど県民生活に影響が出た。

破損した店舗のシャッターを支える従業員=29日午後、名護市東江(国吉聡志撮影)

「みちのくの塔」近くで上からつぶされたように倒壊したあずまや=29日午後、糸満市摩文仁の平和祈念公園(堀川幸太郎撮影)

破損した店舗のシャッターを支える従業員=29日午後、名護市東江(国吉聡志撮影)
「みちのくの塔」近くで上からつぶされたように倒壊したあずまや=29日午後、糸満市摩文仁の平和祈念公園(堀川幸太郎撮影)

 本島南部では倒木や冠水、家屋の浸水などが相次いだ。南城市と八重瀬町を管轄する島尻消防組合には住民の通報などが一時殺到し、職員が「電話がやまず、対応しきれない」と語る慌ただしさだった。

 南城市玉城の奥武島では29日午前、満潮の時刻に高潮が重なり、集落の道路が冠水した。家が床下浸水に遭った大城清一さん(82)は「午前10時ごろ、玄関に海水が押し寄せた。あっという間で、すぐ逃げられもしなかった」と恐怖を語った。

 豊見城市翁長では山から木々が根こそぎ道に滑り落ち、通行止めに。現場から約100メートル先に住む大城實さん(71)は「昼ごろ様子を見た後、再び土砂崩れがあった。夜は返し風が強まるはず」と不安がった。

 糸満市摩文仁の平和祈念公園では平和の礎に木が倒れ込み、青森県の戦没者をまつる「みちのくの塔」に近いあずまやが上から押しつぶされたように崩れた。園路をふさぐように折れた木々が散乱していた。

 管理する県平和祈念財団の上原兼治事務局長(68)は10月から各都道府県の慰霊祭に訪れる人々が増えるとして「戦没者を悼み、平和を祈る場。早く元通りにしないと」と30日午後にも復旧を始めたいと話した。