重度のダウン症で、独特なタッチの墨絵を制作する小波津有希さん(22)=沖縄県西原町=が、12月にイタリアで開かれるアート凧(たこ)展「翔-未来を和凧に乗せて-」に作品を出品する。生き生きと絵を描く有希さんの成長を見守ってきた母の智恵美さん(59)は「有希の作品を海外の人にも見てもらうことが夢だった。有希にとっても幸せ」と話す。(南部報道部・知念豊)

イタリアのアート凧展に出品することを喜ぶ小波津有希さん(中央)と母の智恵美さん(右)、有希さんの友人の米盛亜伊里さん=14日、与那原町与那原・就労継続支援B型事業所ゆいまーる

 同展は12月12~14日、イタリアの国立ローマ・ラ・サピエンツァ大学で開催予定。国内で活躍する芸術家の作品を集め、アート凧として展示する催しだ。

 智恵美さんによると、有希さんが墨絵に興味を持ちだしたのは6歳のころ。智恵美さんが通う書道教室で筆を取り、難しい漢字を書いたため、指導していた書道の先生が驚くこともあったという。

 その後、本格的に水墨画を描くようになった。知人の水墨画家で、故・奥原崇典さんもその絵を見て「私と同じレベルの作品を描く」と舌を巻くほどだったという。

 会話や文字によるコミュニケーションができない有希さん。普段は町与那原の「就労継続支援B型事業所ゆいまーる」で仲間と働いている。

 今では大好きなJ-POPを聴きながら、12色の絵の具を墨絵の上に垂らし、手のひらでなぞるようにして色彩豊かな作品を制作する。作品は南城市にも寄贈し、新庁舎にも飾られている。

 自由で独創的な画風は「沖縄のピカソ」として全国放送のテレビ番組でも取り上げられた。今年に入り、雑誌『美術ぷらす2018』にも掲載された。それを見た東京のイベント会社から、アート凧展へのデザイン出品の打診があったという。

 智恵美さんは「芸術の街イタリアで多くの人に見てもらい、有希の作品が評価されたらうれしい」と快諾。「障がいがあっても諦めないで前を向いてきた。夢がかなってうれしい」と目を輝かせた。

 有希さんの作品に関する問い合わせは智恵美さん、電話080(3971)3724。