「兄さん、うちの屋上からよく見えるよ」。県民の反対を無視し、日米がMV22オスプレイを普天間飛行場に強行配備したのは2012年10月1日。当時、宜野湾市上大謝名で撮影場所を探していると女性が自宅に招き入れてくれた

▼大挙集まった全国メディアにも屋上を開放。撮影を終え、そそくさと帰り支度する一団にこう懇願した。「沖縄は新たな苦しみが始まる。これでおしまいじゃなくて、私たちの声を聞き続けてね」

▼それでも全国報道の多くは「配備された」「訓練を始めた」「県民の反発が予想される」とまるで傍観者のよう。日本全体の問題は「沖縄問題」に矮小(わいしょう)化され、他人事(ひとごと)とされた

▼全市町村長が配備撤回を求めて安倍晋三首相に渡した建白書の危機感を、多くの国民が自分事として受け止めてくれていればと強く思う。あれから6年。くしくも10月1日にCV22オスプレイが東京・横田基地に配備された

▼特殊作戦用のCV22は夜間・低空の飛行、兵士降下などの訓練も行う。首都圏を拠点に列島上空をわが物顔で飛び回り、沖縄と同様、多くの人が騒音や墜落の危険にさらされる

▼露骨に進む全国の「沖縄化」。本土の人々は生活が犠牲になったとしても国の安全保障を優先するのか、それとも声を上げるのか。もう他人事では済まされない事態がきている。(磯野直)