前衆院議員の玉城デニー氏が、きょう知事に就任する。

 屋良朝苗氏から数えて復帰後8人目となる県政の舵(かじ)取り役は、元ミュージシャンという異色の経歴を持つ。持ち前の明るさと発信力で「新時代沖縄」を築いてもらいたい。

 急逝した翁長雄志前知事の後継として立候補した玉城氏が、佐喜真淳・前宜野湾市長を約8万票の大差で破ったのは、有権者が翁長県政の継承を望んだからだ。

 既に富川盛武、謝花喜一郎両副知事の留任が決まっており、新県政は前県政の政策を軸に運営されることになる。

 しかし辺野古新基地阻止や埋め立て承認の撤回を、具体的政策にどう落とし込んでいくかは、必ずしも明らかではない。

 当選後、玉城氏は新基地問題について、協議による解決を求めていく考えを表明した。政府は法的な対抗措置をちらつかせるが、知事選で再度示された民意を無視することは許されない。

 米紙ニューヨーク・タイムズは選挙結果を受け「安倍晋三首相と米軍司令官は、公平な解決策を見いだすべき」との社説を掲載した。両政府に計画見直しを促したのだ。

 日本政府は玉城氏の求めに応じ、工事を中断したままの状態で協議に応じるべきである。

 基地政策では具体策を持って議論し、打開策を見いだす戦略も必要だ。

 今年1月、県議会は全会一致で「海兵隊の国外・県外移転」を決議した。県として海兵隊の問題をどのように整理していくのか。新基地建設とも絡むだけに、できるだけ早く考えをまとめる必要がある。

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 玉城氏が選挙公約のタイトルに「新時代沖縄」を掲げたのは、在任中に迎える復帰50年を意識したからだろう。

 基地維持装置とも評される沖縄振興体制は今のままでいいのか、その後の10年、沖縄はどのような社会を選び取っていくのか、重要な岐路に差し掛かる。

 県政の舵取りは初めてである。その「経験不足」を補い、あらゆる知恵を結集するためにも、玉城氏には「基地」「経済」の両分野で、専門家からなるブレーン集団をつくってもらいたい。県議会与党との連絡も密にすべきだ。

 翁長氏が国連人権理事会などで理不尽な基地政策を訴えたように、県民の思いを国内外に発信していくことも必要である。世界各地に「応援団」を増やしていくことは、問題解決の大きな力になる。

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 翁長氏の遺志を継承しながら、玉城カラーをどう発揮していくか。

 二つのルーツを持ち、苦労人でもある玉城氏が語る「沖縄らしいやさしい社会の構築」に期待を寄せる声は多い。

 最重要政策に掲げる「子どもの貧困対策」は、翁長県政の実態調査によって問題が共有されたが、貧困の連鎖を断ち切り希望を生み出す「沖縄モデル」へとつなげるのは、これからの仕事である。

 選挙中繰り返した、他者の痛みに寄り添う「チムグクル」をいつまでも忘れないでほしい。