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大差の要因、ネット上のデマ、今後の展望… 担当記者が振り返る沖縄県知事選

2018年10月4日 19:00

 翁長雄志前知事の死去に伴う知事選は、翁長氏の遺志を継ぐと明言した前衆院議員の玉城デニー氏が過去最多の39万6632票を獲得し、自民、公明、維新の会、希望の党が推した前宜野湾市長の佐喜真淳氏に8万174票の大差をつけて、初当選を果たした。大差の要因や新県政の展望などを選挙取材に関わった記者が話し合った。

知事選で当選を決め、支援者らとカチャーシーを踊る玉城デニー氏(中央)=9月30日、那覇市古島

-想定外の大差だった。

 B 命を張って闘う姿を見せた翁長前知事の存在は大きい。これまでの支持に同情や悔しさが加わった。翁長氏の基礎票の上に、明るく、柔らかいイメージの玉城氏の人柄も受けた。

 E 小さな子どもたちが「デニー」と駆け寄る場面が印象的だった。ギターを片手に「ロック」音楽を熱唱。親しみやすさで、女性や若者といった無党派層を取り込んだと思う。

 A 出馬が決まって辺野古ゲート前であいさつした時、「出遅れている。玉城デニーは一人だが、皆さんが玉城ダミーになったつもりで多くの人に声を掛けてほしい」と訴え、重い空気を打ち消していた。

-辺野古新基地建設問題が最大の争点になった。

 F 政策の大きな違いは辺野古問題に関するスタンス。振興策を打ち出しながら、辺野古の是非を明かさない佐喜真氏や支援する政府、与党に対し、「ウシェーティナイビランドー」と突き付けたのが、この結果ではないか。

 B 玉城氏は当初、反対の立場を明確にしながら、辺野古や翁長前知事の後継であることを前面に出さなかった。「知事選に挑戦するのは翁長知事の亡霊ではなく玉城デニーだ」という考えだったが、選対が有権者への浸透に限界があると戦略を切り替えたことが奏功した。

 C 佐喜真氏が当初、討論会やマスコミのインタビューを受けなかったのも「逃げている」というイメージを与えた。

-無党派層や若者の取り込みはどうだったか。

 E 玉城選対は若者向けの小さな集会で、多くの市民がマイクを握り、多様性と一体感を演出していた。

 D 佐喜真氏側は、国会議員が続々と来県したことに、不満の声も聞こえた。山梨県選出の国会議員が名護市の総決起大会で「基地があるから英語表記の看板があふれている。国内留学の聖地にすべきだ」と発言。渡具知武豊市長は「沖縄にある海兵隊基地はもともと山梨県にあった。もっと考えて発言してほしい」としかめっ面だった。

 H 支援する企業関係者も「とんちんかん」とあきれていた。自民党関係者は「建設業者が集まる集会で教育改革の話をされても集まった人には響かない」と不満を漏らした。

 F インターネットのSNSを中心に、誹謗(ひぼう)中傷、デマが出回ったことは残念だった。事実を確認せずに国会議員や元市長が拡散するという例もあった。SNS全盛の時代に、公正な選挙のためにいかに対応すべきなのか、考えさせられる選挙だった。

-マスコミや政党の世論調査では玉城氏優位だったのに、最後まで接戦と伝えられていた。

 B ふたを開けてみれば報道各社の情勢調査の10-20ポイント差で玉城氏リードは当たっていた。自民は残り1週間で3・1ポイント差で玉城氏に迫っているという数字を出したが、陣営を鼓舞するための数字だったのかもしれない。2、3日前には自民側から「厳しい」「このままじゃあ負ける」と弱音も聞こえてきていた。

 A 調査に回答しない人の数が多く、その中には佐喜真氏の支持者が多いのではないか、といわれた。名護市長選でもその傾向があったからだ。マスコミは慎重になっていた。

-政府、与党の打撃は。

 B 自公維の「勝利の方程式」は崩れた。今後の選挙に影響を与えるのは必至。豊見城、那覇市長選も自公維体制で戦う方針だが、見直しが迫られる。

 G 公明は全国から数千人規模で動員したといわれる。2月の名護市長選でも同じ手法で当選させたが、県本幹部は「地方選挙と全県選挙では違った」と振り返り、辺野古反対の民意が強かったとの認識を示したのが印象的だ。

 D 「平和の党」としてのスタンスに疑問を感じた一部支持者が玉城氏を表立って支持したのが、その証左だろうね。

 F 維新の下地幹郎氏も力を入れていた。自民の国場幸之助氏を別の区に移し、論功行賞で自分が自公維の枠組みで衆院1区から出るための布石ではないかと、ささやかれていた。

 H 総決起大会で、下地氏は前回の知事選で争った仲井真弘多元知事に「これまですみませんでした」と頭を下げ、手を握った。なりふり構わずの姿に古くからの支持者も「あの時に応援したのは何のためだったか。節操がない」と疑問を示していた。

-選挙結果が普天間返還問題や沖縄関係予算に影響するだろうか。

 H 普天間問題は引き続き厳しい。県の埋め立て撤回後、知事選で休戦状態だったが、県と国の法廷闘争となれば、県勝訴のハードルは高い。法的に正しいかどうかではなく、辺野古ノーの民意を政府は重く受け止めるべきだ。

 C 8月末に内閣府が財務省に提出した概算要求は昨年度概算要求と同額。佐喜真氏が当選すれば、公約実現のためとして大幅な沖縄関係予算の増額が検討されていた。しかし、これまで通り厳しい査定が続くことになるだろう。

 G 県庁内でも翁長前県政同様、辺野古問題での政府との対立から「予算折衝は厳しい」との声が聞こえる。ある県幹部は、「国家予算が基地建設への姿勢で増減されることはあってはならない」とくぎを刺す。玉城氏も対話や協議を呼び掛けており、政府はどう対応するだろうか。

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