大弦小弦

[大弦小弦]健康保険証に、「ジェネリック医薬品…

2018年10月15日 07:40

 健康保険証に、「ジェネリック医薬品を希望します」という小さなシールを貼っている。特許が切れた薬の後発品で、値段が安い。主成分は同じだから抵抗なく選んでいる

▼一方、家族はシールを貼っていない。製法や材料まで全く同じではないから、効果と安全性を心配する専門家もいる。家族でも、それぞれの選択がある

▼生活保護を受けている人は今月、薬を選ぶその権利を奪われた。法改正で後発薬の使用が実質義務になった。医療費が全額公費だから、抑制する必要があると厚労省は説明する

▼医療費抑制は国家的課題。後発薬のメリットがそんなに大きいなら、一律義務化した方がいい。「生活保護を受けている患者だけは安い薬で我慢しろ」というのは明白な差別である

▼厚労省がこの件で一般の意見を募集した。やはり「人権侵害だ」という批判が多いものの、無料だから不要な受診をしている、と決めつける声もある。一部の事例を基に弱者全体をたたくバッシングが、役所の強硬姿勢を後押ししている

▼生活保護を受けている60代男性は言う。「結局、早く死になさい、ということなんだろうね」。男性も、これまでは働いて税金を納めてきた。小さなきっかけで困窮することは誰にでもある。いざという時に頼れない国家とは何のため、誰のためにあるのだろうか。(阿部岳)

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