トランプ米政権が不法移民を排除し、性的少数者(LGBT)らに不寛容な政策を進める中、人権団体の全米市民自由連合(ACLU)の存在感が高まっている。1世紀にわたり米憲法が保障する人権や言論の自由を擁護する活動を続け、第2次大戦中には、日系人の強制収容にも異議を唱えた。トランプ政権誕生から会員数は4倍強に増え、差別的な政策を批判する急先鋒(せんぽう)になっている。

米ニューヨークで開かれた性的少数者の人権を訴えるイベントに参加する全米市民自由連合(ACLU)のメンバーら=2016年6月(ゲッティ=共同)

 「(不法移民の)家族を収容することが民意だとトランプ大統領が考えているのだとしたら、ひどい過ちだ」。ACLUのアンソニー・ロメロ事務局長は今年6月、トランプ政権下で相次いだ不法移民の親子を別々の施設に拘束する措置を非難する声明を発表した。

 トランプ氏がイスラム圏を対象とした入国規制の大統領令を発表した際には、ACLUは「イスラム教徒への差別にすぎない。根本から憲法に違反している」と非難。無効を訴え、全米各地で法廷闘争を続ける。

 発展途上国などで人工妊娠中絶を支援する民間団体への連邦助成金支出を中止したり、心と体の性が異なるトランスジェンダーの米軍入隊を禁じたり、トランプ氏は論議を呼ぶ政策を連発。ACLUはそのたびに強く抗議してきた。

 1920年に少人数で設立されたACLUは現在全米各地に事務所を構える。昨年1月のトランプ政権発足時に約40万人だった会員は今年3月までに180万人に増え、年額300万~500万ドル(3億3600万~5億6千万円)程度だった寄付金も1億2千万ドル近くに急増した。

 言論の自由を守る姿勢は徹底している。78年にはホロコースト(ユダヤ人大量虐殺)の生存者が多く暮らす中西部シカゴ郊外でデモ行進をしようとしたナチス関連団体を弁護した。「最も嫌われている団体でも憲法上の権利は適用されなくてはならない」(ACLU関係者)との信条からだ。

 戦火を交えた日本にルーツを持つ日系人の権利も擁護した。第2次大戦中に大統領令によって「敵性外国人」として強制収容所に送られた故フレッド・コレマツ氏と共に戦後、訴訟で闘い、収容の不当性を訴えた。

 「何かが間違っていると感じたら、声を上げることを恐れてはいけない」。コレマツ氏は80年代、人種偏見に基づく誤った政策だったとの名誉回復判決を勝ち取った。生前に残した言葉はACLUの活動とも重なる。(ニューヨーク共同=高木良平)