最近、スーパーなどで買い物をすると、見知らぬ客ときまって交わす短い会話がある。「高いですね」。悪天候や自然災害による影響で高騰が続く野菜のこと。ある女性は「自給自足しないといけないさ」とため息交じりだった

▼そんな中、安倍晋三首相が来年10月に消費税率を10%に引き上げる方針を表明した。2度の延期の末、とうとう来たかの思いと同時に、ふに落ちないことも多い

▼まず分かりづらい。食料品などの税率を8%に据え置く「軽減税率」も導入される。店内で食べると10%で、持ち帰りは8%。これまで調味料だったみりんやこしょう。軽減税率後はこしょうは8%、酒類扱いになるみりんは10%…

▼税収の使い道では、政府は幼保教育の無償化を掲げるが、果たして十分なのか。待機児童が増える懸念も指摘されている。そもそも財源の無駄遣いはないかといった総点検はできているのか

▼消費税は所得の違いで負担の大小に直結する。好景気といわれるが、賃金は上がらず、消費者がそれを実感するには程遠い。負担だけが増す不安を払拭(ふっしょく)する具体的な制度設計を示してほしい

▼税の基本は「公平・中立・簡素」。納税は義務とはいえ、税率引き上げによる家計の負担は明らか。いつまで増税が続くのか、社会保障の安定的な運用について丁寧な説明が必要だろう。(赤嶺由紀子)