沖縄でよく開かれる「住民大会」が東京の自宅近くであると聞き、出掛けてみた。場所は超高層オフィスビルの広々としたロビー。掲げられたテーマは新しい地下鉄建設だった

▼週末の金曜日の夕方。参加者は約200人といったところか。丸川珠代前五輪相ら国会議員、都議・区議団も見える。「一致団結して新線を造るぞ」。シュプレヒコールで拳を突き上げる

▼新設を求める理由はこうだ。東京五輪の選手村や競技施設ができる晴海や有明などの臨海地区は駅から遠い「交通不便地域」。タワーマンション建設はまだ続き、人口はますます増えるので利便性向上は必要なのだ、と

▼「不便」と言っても15分も歩けば既存の駅に着くし、鉄道の代わりに都営バスは数分おきに来る。確かにいつも電車やバスは混み合っているが、新地下鉄を「長年の悲願」と形容するのはいささか仰々しい

▼SNSに「駅徒歩15分エリアなんてざらにあるのに、そんなぜいたくな要求をしていいのか」という投稿があった。常識的な見方ではなかろうか

▼米軍基地問題を問う沖縄の住民大会で語られるのは「日本の民主主義の危機」「住民の命を守れ」。切実さは地下鉄と比べようもない。「新線は10年以内に開業させたい」。登壇者の1人は息巻いていた。70年以上耐え続けた沖縄はあと何年だろう。(西江昭吾)