社説

社説[県民投票条例案可決]実施の意義 周知を図れ

2018年10月25日 07:38

 県民投票に向けた大きな一歩が踏み出された。

 辺野古米軍基地建設のための埋め立ての賛否を問う県民投票条例案は24日、県議会の米軍基地関係特別委員会で与党の賛成多数で可決された。

 投票実施に必要な予算案も総務企画委員会で認められた。いずれも26日の最終本会議で可決、成立する見通しである。

 自民、公明は「賛成」か「反対」かを問う2択方式を改め、「賛成」「反対」に「やむを得ない」「どちらとも言えない」を加えた4択方式の修正案を提案したが、賛成少数で否決された。

 米軍普天間飛行場の危険性除去については、県も県議会与野党も一致している。その点の争いはない。

 県民投票の効果を高めるという観点から言えば、多様な解釈を許すような選択肢ではなく、あいまいさを排除して単刀直入に聞くことが力になる。選択肢の中に答えを誘導するような表現があるのは好ましくない。

 地方自治法に基づいて9万2848筆の署名を集め、県に条例制定を請求した「『辺野古』県民投票の会」は、9月に発表した声明で指摘している。

 「沖縄のみならず、民主主義の在り方を左右する日本の問題として国民的議論を深める機会にすべきである」

 県民投票に法的な拘束力はない。政府は、反対が多数となった場合でも移設方針に影響はない、との姿勢を崩していない。だが、政府が問答無用の姿勢だからこそ、県民投票が必要なのである。

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 県民投票をめぐっては石垣市議会が反対の意見書を可決した。県の調べによると、投開票などの事務委託について、10日の時点で41市町村のうち35市町村が同意し、6市が回答を保留している。

 条例案は委員会で可決したものの、今のところ各市町村の足並みはそろっていない。 「基地建設は国の専権事項」だという主張や、「司法の結果を見て判断すべき」だとの意見があるのは確かだ。

 防衛問題が「国が本来果たすべき役割」だとしても、「国の専権(専管)事項」という言葉には、自治体や住民は口出しすべきではない、というニュアンスが込められている。

 だが、基地建設によってさまざまな被害を恒常的にこうむるのは住民である。自治体が住民の生活を守る立場から国に過重負担の軽減と公平・公正な扱いを求めるのはあまりにも当然である。

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 2017年4月の憲法審査会で、参考人として出席した斎藤誠・東大教授は、国と沖縄県の対立状態を念頭に「訴訟ですべてが解決するのではなく、政治の場で協議や対話を積み重ねることが重要」だと指摘した。

 県民投票に向けたさまざまな取り組みを通して議論が深まり、「沖縄の民意」が明確に示されれば、本土の議論を促す力になるだろう。

 自治体が県民の「意思表示する権利」を閉ざすようなことがあってはならない。保留中の自治体の賢明な判断を期待したい。

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