文化庁は、国連教育科学文化機関(ユネスコ)の無形文化遺産に推薦している「宮古島のパーントゥ」(宮古島市)など「来訪神 仮面・仮装の神々」について、事前審査している補助機関が同遺産に「登録」するよう勧告したと発表した。

 パーントゥのほか、「男鹿のナマハゲ」(秋田県)、「能登のアマメハギ」(石川県)、「悪石島のボゼ」(鹿児島県)など、東北から沖縄まで8県10の国の重要無形民俗文化財が含まれている。

 11月末からインド洋のモーリシャスであるユネスコ政府間委員会で最終決定する。補助機関の登録勧告が覆ったことはないため、正式に登録が決まることになる。

 沖縄関係では、2010年に「組踊」が単独登録されて以来、2件目となる。

 パーントゥなどの来訪神は、年の節目に、仮面・仮装をした異形の者が「来訪神」として地域の家庭などを訪れ、厄払いや福をもたらしたり、怠け者をいさめたりする。霊的なものが異界から来るという普遍的な信仰が、伝統行事として各地にさまざまな形で引き継がれてきたということを改めて認識させられた。

 パーントゥは、旧暦の9月に実施する平良島尻と、同12月最後の丑(うし)の日に行われる上野野原の両地域で古くから伝わる。人や建物に泥を塗ったり、男の子が集落を練り歩いたりと、厄払いの方法も外観もそれぞれに特徴がある。

 継承してきた人々の結びつき、生まれ育った地に対する思いや責任が登録へ結びついた。共に喜び、たたえたい。

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 無形文化遺産に登録されるということは、衰退の恐れがあり今後保護していかざるを得ない伝統行事であるとの現実もある。

 今回登録される行事の多くで、過疎化や生活スタイルの変化などの影響を受け、存続が危ぶまれている。

 上野野原のパーントゥも例外ではない。過疎化でパーントゥの担い手となる男の子がいる家庭自体が少なくなり、域外から連れてきたりすることもあるという。

 「登録を機に若者が地域に帰ってこれば活性化になる。継承の機運が高まってほしい」。保護団体・野原部落会の渡久山隆会長のコメントには喜びと同時に、切なる願いが相半ばする。

 行事が観光資源となり、地域おこしにつながる可能性はある。ただ、過疎・高齢化を止める万能薬はない。域外にいる出身者も巻き込み知恵を絞ることが重要だ。

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 知名度が上がり、観光客が集まるようになることで、地域との摩擦も起こっている。

 泥を塗りつけることが伝統の平良島尻のパーントゥでは、観光客の一部から「服を汚された」などの苦情が出て、トラブルとなることもあった。パーントゥの主体は、あくまで地域であるので、観光で来た人たちが、異文化に接する際の礼儀や行事の意味を理解しておく必要がある。

 世界が認める祭祀(さいし)の継承と観光の両立には、行事が地域の財産であり、それを保護するための登録であることを十分に認識すべきである。