社説

社説[日中首脳会談]関係改善の流れ加速を

2018年10月27日 08:13

 中国を訪問中の安倍晋三首相は、習近平国家主席と会談した。「新たな時代」の日中関係構築に向けた三つの新原則を確認した。

 首脳レベルの信頼関係を強化するため、安倍首相は来年の訪日を要請、習氏は「真剣に検討したい」と答えた。

 会談冒頭で習氏は「両国関係は正しい軌道に戻り、前向きな勢いをみせている」と現状を評価した。

 これに対し、安倍首相は「競争から協調へ」「互いの脅威とならない」「自由で公正な貿易体制の発展」-など日中の新3原則を示し、「世界の平和と安定のため、ともに力を合わせて貢献していきたい」と語った。

 日本の首相が、国際会議などへの出席以外で単独訪中するのは実に約7年ぶりだ。

 日中平和友好条約発効から40周年の節目を迎えたタイミングで、日中関係が改善に向けて動き出したことを歓迎したい。

 中国の背景には、互いに高い関税をかけ合う米中の「貿易戦争」がある。

 この日北京で開かれた「第三国市場協力フォーラム」では日中の多くの企業経営者らが参加、50件以上の企業間覚書が締結された。中国の経済圏構想「一帯一路」には警戒感も根強いが、安倍首相は昨年、「開放、公正、経済性」を条件に支持を表明、関係改善のきっかけをつくった。

 日本側にはアジア太平洋からアフリカに至る地域の安定に貢献するとした「自由で開かれたインド太平洋地域」につなげる思惑もある。

■    ■

 尖閣諸島の国有化を機に、反日デモが相次ぎ、日中関係が悪化したのは2012年。今も、中国公船が尖閣周辺の日本領海に侵入している。安倍首相は李克強首相との会談で東シナ海を「平和、協力、友好の海」にすることで一致。尖閣諸島を巡る領有権問題は解消されたわけではないが、事実上棚上げにすることになりそうだ。日中首脳が友好関係を維持する姿勢を明確に打ち出したからである。

 自衛隊と中国軍の偶発的な衝突を回避するための相互通報体制「海空連絡メカニズム」のホットラインの早期開設に取り組む。長年の懸案であり、実現して緊張緩和につなげなければならない。

 東シナ海ガス田の共同開発のように、交渉再開を目指すことでは合意したが、先行きが不透明な問題もある。

 相互不信の根源である歴史認識問題も残ったままで、基盤は決して強固ではない。

■    ■

 日中両政府が署名した多くの文書の中で「青少年交流強化に関する覚書」に注目したい。5年間で計3万人の相互訪問を実施する計画だ。

 日本の民間非営利団体「言論NPO」などが行った世論調査では、日本に良い印象を持つ中国人は昨年より増えて42・2%。逆に日本人は86・3%が中国の印象を良くないと感じている。

 中国人の20代未満に限ると、良いとする人が63・1%、訪日経験者の74・3%も良いと答えている。

 首脳会談を頻繁に行うとともに、草の根レベルの交流を拡大していくことも重要だ。

あわせて読みたい

関連リンク

社説のバックナンバー

沖縄関連、今話題です(外部サイト)

JavaScriptをOnにしてください

アクセスランキング

ニュース 解説・コラム

注目トピックス

沖縄タイムスのお得な情報をゲット!

友だち追加
LINE@

沖縄タイムスのおすすめ記事をお届け!

友だち追加
LINE NEWS