沖縄県名護市辺野古の新基地建設を巡り、国土交通相が県の埋め立て承認撤回の執行停止を決定した通達書が31日、沖縄防衛局と県に届いた。防衛局は撤回を受けて中断していた辺野古での工事を1日に再開する方針を固めた。撤去していた海上のフロートの再設置などを進める見通し。気象状況によっては工事を見送るなど流動的な面もある。
日本記者クラブの会見などのため上京していた玉城デニー知事は31日、都内で記者団の取材に応じ「(県の意見書提出から5日後という)非常に短い時間で国交相が撤回を執行停止したのは、多くの県民が政府への強い憤りと失望を持っている」と反発した。
政府の工事を再開する方針には「工事の強行はまかりならない。暴挙がないようしっかり見ておきたい」と述べた上で、安倍晋三首相ら政府に対話を求める考えを示した。
防衛局は31日、沖縄タイムスの取材に「今後の予定は現時点で決まっていないが、普天間飛行場の固定化は避けなければならない」として工事を早期に再開する考えを示した。
工事については「準備作業の進捗(しんちょく)や気象、海象を踏まえる」と述べるにとどめた。当面は撤回後に海上から撤去していたフロートを作業ヤードから沿岸部に移動し、数週間かけてフロートを設置した後に護岸で囲んだ海域に土砂を投入する見通し。