社説

社説[辺野古 工事再開]破滅的な事態を避けよ

2018年11月3日 09:37

 県の埋め立て承認撤回によって中断していた名護市辺野古の新基地建設工事が、2カ月ぶりに再開された。

 海上では2日も、前日に引き続きフロート(浮き具)の設置作業などが続いた。

 沖縄防衛局は年内にも一部海域に埋め立て土砂を投入する計画である。

 撤回の効力は2カ月しか続かなかった。10月4日に玉城デニー知事が就任してから1カ月もたたずに、その効果を失った。

 一見すると、政府の思惑通りに事態が進んでいるように見える。だが、実際はそんな簡単な話ではない。

 辺野古への新基地建設計画はもはや完全に破綻した、というべきである。奇をてらって言うのではない。

 米軍基地建設は合意形成が絶対条件だ。合意を前提にした信頼関係がなければ公有水面埋立法に基づく埋め立てはできない。

 政府は、最も大切な合意形成を怠り、情報開示も説明責任も不十分なまま、独断的な法解釈や一方的な解釈変更によって、県の意向を無視して工事を強行してきた。

 強権を発動する以外に、まっとうな埋め立て工事ができなくなったのである。

 政府の最大の誤算は安倍政権と国政与党が全力を挙げて支援した候補者が知事選で大敗したことだ。辺野古反対を掲げる玉城知事の時代は少なくとも、あと4年続く。

 政府には、県との対話によって計画を見直すか、前例のない「強権政治」によって破滅的な事態を迎えるか、二つしか選択肢がない。

    ■    ■

 行政不服審査法は本来、国民が行政への不服を申し立てる国民救済のための制度である。なのに政府は「国の機関であっても、一般私人と同様の立場で審査請求をなし得る」と解釈し、沖縄防衛局の申し立てからわずか2週間で、撤回の効力を一時停止した。

 承認撤回の理由の一つにもなっているが、埋め立て海域の海底には軟弱地盤が存在することが分かっている。

 工事を進めるためには地盤改良が必要であり、県から設計変更の許可を得なければならない。信頼関係が失われた埋め立てに対して県が設計変更の許可を出すとは考えにくい。 

 岩屋毅防衛相は2日、土砂を積み出す本部港の使用許可が本部町から得られていないことを明らかにした。台風被害の影響だという。

 本部港が使用できなければ工事計画に狂いが生じるのは確実である。

    ■    ■

 辺野古にこだわれば普天間飛行場の危険性除去は遅れるだけである。一体、何年待たせるつもりなのか。

 政府は「抑止力の維持」を強調するが、海兵隊が沖縄でなければならない、という理由はない。専門家の共通認識だ。

 新基地建設だけでなく辺野古弾薬庫やキャンプ・シュワブなど既存の海兵隊基地の再開発も計画されている。事故の危険は普天間を移設してもついて回る。

 その場しのぎではない実質的対話を、政府に強く求めたい。巧言はもうごめんだ。

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