行政の方針を示す総合計画を地域の言葉で表現しよう-。村政110年を迎えた読谷村が、2018年から10年間の村の取り組みを示す「読谷村ゆたさむらビジョン-いちゅいゆんたんざ-」を取りまとめた。読谷が持ついきおい、ポテンシャル意味する「いちゅい」をタイトルに掲げ、5項目の基本施策をしまくとぅばで初めて表記。ビジョンを村民で共有しようと琉歌と踊りを作り上げ、先月28日の読谷まつりで初披露された。(政経部・銘苅一哲)

読谷まつりで村のビジョンを歌と踊りで表現した「いちゅいゆんたんざ」が披露された=10月28日、読谷村

読谷村政110周年を祝う石嶺傳實村長(左端)ら歴代村長と、県内男性最高齢の津波蒲戸さん(左から2人目)

読谷まつりで村のビジョンを歌と踊りで表現した「いちゅいゆんたんざ」が披露された=10月28日、読谷村 読谷村政110周年を祝う石嶺傳實村長(左端)ら歴代村長と、県内男性最高齢の津波蒲戸さん(左から2人目)

 読谷村が基本計画に初めてしまくとぅばを使用したのは、さかのぼること約30年前、1989年の第2次総合計画基本構想だった。

 計画の冒頭には「言葉は最大の地域文化。言葉が衰退する時、文化もまた衰えます」として言葉が最大の財産だと強調。「誇(フク)らしゃや読谷村(ゆんたんじゃ)」の項目で家族3世代が花織、焼物、サンシンなど読谷が誇りにする文化の大切さを語り合う様子を記載した。

 10年後の3次計画では標語を琉歌で表現「ゆたさある風水(ユタサアルフンシ=豊かな環境)、優る肝心(マサルチムグクル=共に生きる)、咲き誇る文化や(サチフクルハナヤ=活力ある社会)、村の指針(ムラヌミアティ)」を掲げ、4次計画は後半の「村の指針」を「健康の島(ガンジュウヌシマ)」に改めた。

 今年策定した5次計画も標語の前半を継承しつつ、最後の一つに「思い合ち(ウムイアワチ=心を一つに)」を掲げた。初の取り組みとして計画の内容を示す五つの基本施策の題名を「風水としなて悠々と暮らさ(自然と調和した潤いのあるむらづくり)」など、しまくとぅばで表記した。

 村企画政策課の城間康彦課長は「実は、ビジョンについて村民と話し合う審議会では標語を日本語にする案も提案した。だけど『いままでの琉歌が定着している』という意見が多く、それなら計画の中身も地域の言葉で表現しようと取り組んだ」と計画策定の経緯を明かす。

 基本施策のしまくとぅばの訳は村文化協会の部会「読谷山しまくとぅば愛さする会」の協力を得た。

 作業を進める中で「歌と踊りで村民にビジョンを理解してもらおう」というアイデアも浮上。村宇座に住む野村流古典音楽協会の中村正幸師範に依頼し「いちゅい ゆんたんざ」が完成した。

 読谷まつりの村政110周年式典では歴代の村長や村在住で県内男性最高齢110歳の津波蒲戸さんが村の発展を祝う中で、中村師範と弟子たちが歌と踊りを披露。サンシンの音色に合わせた琉歌と「めんそり、めんそり、花ぬゆんたんざ」の合いの手に会場は手拍子が響いた。

 披露を終えた中村師範は「読谷が持つ活力を表現した。多くの場面で琉歌と踊りを活用してほしい」と笑顔。城間課長は「ビジョンを地域の言葉で表記するだけでなく、歌と踊りで表現するのは全国でも例がないはず」と話し、「いちゅい」の中から行政と村民が協力して作り上げたビジョンに胸を張った。