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  • 障がいのある子(6~18歳)が通う「放課後デイ」は339カ所。6年で3倍
  • 質にばらつき。利益率の高さが民間の新規参入を急増させた恐れも
  • 国は制度を厳格化したが、熱心な事業所の運営は苦境に陥っている

 障がいのある就学児童の療育や放課後の居場所づくりを担う福祉サービス「放課後等デイサービス(放課後デイ)」の沖縄県内の事業所が9月で339カ所になり、2012年の制度開始から6年で約3倍に急増していることが4日、沖縄タイムスの調べで分かった。全国的にも新規参入が相次ぎ、事業所により質のばらつきがあるとして、厚生労働省は4月、報酬制度の改定や職員の資格基準を厳格化。識者は「現在の制度も問題があり、質を担保する抜本的見直しが必要」と指摘している。(特報・新崎哲史、下地由実子)

放課後の居場所

 放課後デイは、障がいがある6~18歳の就学児を対象に、生活能力を向上させる訓練や社会交流などのサービスを提供する。利用者は1割負担で、9割は国や自治体の公費でまかなう。

 利用料は所得によって異なるが、平均的な世帯収入なら月4600円程度利用しているという。

 県障害福祉課によると、制度が始まった12年の事業所数は115カ所で、社会福祉法人が最も多く43カ所だった。年々、民間企業の新規参入が増加。12年33カ所だったが、18年には197カ所と6倍に上った。

「突出して多い」

 事業所の増加とともに、利用者も12年の1688人から18年3512人と2倍に増加。身体、知的など障がいの種類にかかわりなく利用できるが、多くは発達障がい児とみられる。

 学識者や放課後デイの事業者でつくる「障害のある子どもの放課後保障全国連絡会」(東京都)の山本和順理事は「沖縄は人口比でみると事業所数が突出して多い」と指摘。背景には、公費の9割補助などで「他の福祉サービスより利益率が高い」との事業所側の思惑もあるとみられる。

報酬制度を改定

 営利を優先する事業者の参入から、全国的に職員による利用者虐待や不正請求などの問題が多発。県内でも15年に必要な人員を配置しないまま不正請求を行ったとして、中城村の事業者が指定取り消しの処分を受けた。

 厚生労働省は今年4月、「支援の質を担保する」として、預かる児童の障がいの重さによって報酬に差をつけ、保育士や児童指導員など職員の資格基準を厳格化する制度改定を導入した。

 改定により、多くの事業者が減収になると見込まれ、放課後デイの関係者からは「基準より職員人数を増やし、熱心に療育に取り組む事業所が追い込まれている」との声も上がっている。

質を保障する制度に改革を

◆特別支援教育に詳しい立命館大学の黒田学教授

 福祉は商行為ではなく、営利目的の事業所が増加していることを危惧している。18年度の報酬改定は、子どもの障がいの状態に応じて、事業所の運営費を増減させる仕組みであり、営利目的の事業所を排除するよりも、むしろ非営利の事業所を苦しませている。子どもの発達を促すような質の高い実践を保障する制度に改革すべきだ。

放課後等デイサービスとは

 障がいのある就学児(小中高、特例で20歳未満まで)が対象の障害児通所支援事業。障害者自立支援法の「児童デイサービス」から事業者の参入を規制緩和し、2012年4月改正児童福祉法に基づき制度が始まった。市町村が発行する受給者証が必要で、保護者が事業所を選び契約する。18年6月現在、全国に1万2535事業所、利用者は延べ約19万7千人。