政府は、2020年の世界自然遺産登録を目指し、「奄美大島、徳之島、沖縄島北部および西表島」を国連教育科学文化機関(ユネスコ)に再推薦することを決めた。

(資料写真)やんばるの森

 来年2月1日までに推薦書を提出する。

 17年2月に正式に推薦したものの、今年5月、ユネスコの諮問機関である国際自然保護連合(IUCN)から、登録延期の勧告を受けていた。

 北部訓練場跡地の広大な森林が推薦範囲に含まれていないことや、推薦地域が24カ所に分断され飛び地が多いこと、などが問題視された。

 沖縄、鹿児島両県にとっては再チャレンジということになるが、世界自然遺産として登録されるためには、立ちはだかる二つの壁を越えていかなければならない。

 北部訓練場跡地については、6月に「やんばる国立公園」に編入された。跡地を推薦範囲に追加し、飛び地を解消するとともに、24カ所の推薦地を5カ所に絞り込む方向で調整中である。

 だが、立ちはだかる壁はそれだけではない。

 IUCNが指摘したのは、アマミノクロウサギのような希少種を捕食するノネコなどの脅威、観光客の増加に伴う環境への影響、絶滅危惧種イリオモテヤマネコの交通事故などだ。

 西表島では観光客が増えたことでヤマネコの交通事故死が過去最悪のペースで推移している。自然遺産登録で観光客が殺到した場合、どう対応するのか。入域制限も考えられるが、今のところ対策に決め手はない。

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 沖縄の場合、北部訓練場の存在や、辺野古の新基地建設も大きな壁になる。

 北部訓練場の一部返還の見返りに、高江集落を取り囲むようにヘリパッド6カ所が建設された。これによって環境面で「副作用を増大させる可能性がある」ことは海兵隊自身が認めている。

 その上、辺野古沿岸部の埋め立てによって新たな機能を備えた新基地が建設されれば、北部訓練場でのオスプレイの低空飛行訓練が増えるのは確実である。推薦地への影響が懸念される事態だ。

 辺野古に新基地が建設されると、連動して北部訓練場も半永久的に使用されるおそれがある。

 隣接する辺野古弾薬庫では弾薬庫の建て直しなど再開発計画が進んでいる。本島北部にある海兵隊基地の大がかりな再編計画が進んでいることを見落としてはならない。

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 新基地建設を断念し、北部訓練場を将来的に全面返還させ、生物多様性豊かなこの地域を、かけがえのない自然遺産として次代にバトンタッチする-沖縄にとってそれが最も望ましい姿だ。

 新基地建設問題と自然遺産登録をからめれば登録そのものに支障が生じるとして、翁長雄志前知事は、両者を切り離し、登録実現を優先させて対応したいきさつがある。

 推薦地を国立公園化して保護管理するのはいいとして、隣接する北部訓練場はどうするのか。当面の措置として米軍と協議し、調整の仕組みを設けるべきだ。