大弦小弦

[大弦小弦]長さ1.5メートル、幅1メートルの独房に押し込められ…

2018年11月6日 07:19

 長さ1・5メートル、幅1メートルの独房に押し込められ、立つことも体を伸ばすこともできない。鼻息の音でも拷問され、いつ処刑されるか分からない恐怖が続く。自分だったら耐えられるだろうか

▼内戦下のシリアで武装勢力に3年4カ月も拘束され、生還したジャーナリストの安田純平さん(44)が2日に開いた記者会見。拘禁生活の具体的な説明に、自分に身を置き換えて想像すると身震いした

▼会見は「何が起きたのか、可能な限り説明することが私の責任」と2時間近く。体験を詳細に語ることで、シリアの惨状に少しでも関心を寄せてほしいとの思いは痛いほど伝わった

▼それでも「自己責任」を振りかざすバッシングはやまない。冒頭で政府に謝罪したが、「反省が足りない」などと言う

▼思えば2004年、イラクで3邦人が人質になった際、自己責任論の口火を切ったのは小泉純一郎首相や閣僚だった。自衛隊を派遣した政府への批判をかわすためとの見方が強いが、人々の心のパンドラの箱を開けた。言ってもいいんだと

▼それから14年。今のところ、安倍政権の誰も自己責任を問うていない。なのに声高に叫ぶ者が後を絶たないのは、この言葉が社会に根付いてしまった証しか。世界の実情を私たちに伝えようとして40カ月も虐げられた人を、さらに痛めつける社会は異常だ。(磯野直)

基地で働く―軍作業員の戦後
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