社説

社説[辺野古工事継続通告]自治を破壊する蛮行だ

2018年11月7日 11:15

 協議は開始するが工事は止めないというのは、右手で握手しながら左手で殴るようなものだ。県民に寄り添うとしながら、民意を踏みにじる蛮行である。

 上京中の玉城デニー知事が6日、菅義偉官房長官と首相官邸で会談した。玉城氏が「対話による解決」を求めたのに対し、菅氏はこう答えたという。

 「話し合いは、やりましょう。でも工事は止めずに進めます」

 米軍普天間飛行場の辺野古移設を巡っては、国交相が県の埋め立て承認撤回の効力を一時停止したため、工事が再開している。政府は年内にも土砂を投入したい考えだ。

 玉城氏は安倍政権が支援する候補に8万票もの大差をつけ当選したばかりだ。前回の知事選では翁長雄志氏が、辺野古の埋め立てを承認した現職に10万票近い大差で勝利している。

 14年の衆院選、16年の参院選でも辺野古反対を主張する候補が完全勝利。17年の衆院選では米軍基地が集中する2、3区と、県都那覇市を抱える1区で、引き続き辺野古反対を掲げる候補が当選した。

 今年2月の名護市長選後、「選挙は結果が全て」と語ったのは菅氏である。

 臨時国会の所信表明演説で「常に民意の存するところを考察すべし」と住民意思を大切にする姿勢を強調したのは安倍晋三首相だ。

 選挙結果と民意に耳を傾けるのなら、工事を中断した上で話し合いに応じるのが筋である。それが民主主義の当然のルールだ。

    ■    ■

 今や辺野古反対は沖縄だけの声ではない。

 共同通信が今月3、4日に実施した全国電話世論調査で、辺野古移設を推進する政府の姿勢を「支持しない」が51%と半数を超え、「支持する」は37%にとどまった。

 10月の朝日新聞社の世論調査、8月の産経新聞社とFNNの合同世論調査でも、県外移設など政府の方針見直しを求める声が多かった。

 菅氏が「工事は止めない」としつつ、杉田和博官房副長官と謝花喜一郎副知事の約1カ月の協議に合意したのは世論を気にしてのことだろう。

 15年夏、移設作業を約1カ月中断して行われた集中協議は、翁長氏が「魂の飢餓感」と例えた県民の心情も理解されず、論点がかみ合わないまま決裂した。

 政府に歩み寄る姿勢がなければ、協議を重ねても議論は空回りするだけだ。

    ■    ■

 玉城氏が菅氏との面談で協議期間を約1カ月と区切ったのは、工事再開の対抗措置として総務省の第三者機関へ審査を申し出る期限ぎりぎりまで待つためでもある。しかし、この協議の性格づけや目的をはっきりさせないと、政府の「アリバイづくり」に手を貸しただけということにもなりかねない。

 辺野古への新基地建設は沖縄だけの問題ではない。国民全体に突き付けられた安全保障と地方自治に関する重要な課題である。国民がわが身に照らして、この現実を判断する時だ。

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