米中間選挙は、焦点の下院選でトランプ大統領と対立する野党民主党が8年ぶりに多数派を奪還した。上院は与党共和党が多数派を維持した。

 現在の上下両院はいずれも共和党が多数を握っていただけに、より民意が反映される下院でトランプ氏の「分断政治」に多くの国民がノーを突きつけた形だ。

 中間選挙は4年ごとの大統領選の中間の時期に実施され、現職大統領に対する信任投票の意味合いを持つ。

 上院(定数100、任期6年)は35議席、下院(定数435、任期2年)は全員改選された。

 選挙結果は「ねじれ議会」を生み出し、トランプ氏の「米国第一」の公約実現は困難になるとみられる。ロシア疑惑などを巡り、トランプ氏の大統領弾劾手続きに向けた動きも下院で現実味を帯びる可能性がある。

 トランプ氏の政権基盤が弱体化するのは間違いなく、党派対立が先鋭化し、混乱は続きそうだ。

 民主党は、引退したオバマ前大統領が全面に出て異例のてこ入れをし、トランプ氏の強引な政権運営で米国社会が分断されていると批判した。

 下院奪還の原動力となったのは女性たちの怒りだ。「ピンクウエーブ(女性の波)」と呼ばれ、女性議員は過去最多の選出となった。

 性被害に声を上げる「#MeToo」運動やトランプ氏の女性差別的な言動に反発する女性たちである。

 民主党が下院で勝利したのは、米国の民主主義の底力を示したものといえよう。

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 だが、民主党の全面勝利というわけではない。共和党ではトランプ氏の政策を全面支持する「ミニトランプ」も誕生している。リベラルな民主党が下院で勝利する一方、共和党のトランプ氏を支持する強固な岩盤も存在した。やはり分断されているのである。

 トランプ氏は大統領選からメキシコ国境の壁建設を訴えるなど一貫して移民対策の厳格化を重要課題に掲げてきた。「不寛容政策」を打ち出し、不法移民の親子の分離拘束を強行、批判を浴びた。

 トランプ氏は中米から米国を目指す「移民キャラバン」に「犯罪者や正体不明の中東出身者が紛れ込んでいる」と根拠なく決めつけ、「誰かが背後で動かしている」と陰謀論まで持ち出した。

 移民に対する恐怖をあおり、憎悪を助長。融和を呼び掛けるより、敵をつくり対立をけしかけているのである。

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 米国は2020年の大統領選に事実上突入することになる。ねじれ議会で行き詰まることになれば、トランプ氏は民主党のせいにする可能性がある。そうすれば分断はさらに進むことになろう。

 トランプ氏は外交・通商に活路を見いだそうとするかもしれない。トランプ氏の米国第一主義の振る舞いがすぐに修正されるとは思えず、自身の指導力を国民に印象付けるため緊張感を高めた上で、「取引(ディール)」する奇策をとるかもしれない。

 日本は自由貿易、国際主義、平和主義などの原則を主張し続ける必要がある。