ガレッジセールのゴリが本名の照屋年之で監督・脚本を務めた映画「洗骨」が来年1月18日から全国に先駆け、沖縄で上映される。舞台は粟国島。島の風習である洗骨を機に集う家族の再生と絆を描いた。8日にロケ地の粟国島で上映会があり、島の人にも好評を得た。主役で新城家の父、信綱役を務めた奥田瑛二、撮影現場をまとめた照屋監督に映画の見どころや撮影秘話を聞いた。(学芸部・天久仁)

「洗骨の文化をハートフルなコメディーとして描きたかった」と話す照屋年之監督(右)と、撮影に当たり「役者としての自尊心を監督に預けた」と振り返る奥田瑛二(左)=那覇市・よしもと沖縄花月

映画「洗骨」の一場面(©「洗骨」製作委員会)

「洗骨の文化をハートフルなコメディーとして描きたかった」と話す照屋年之監督(右)と、撮影に当たり「役者としての自尊心を監督に預けた」と振り返る奥田瑛二(左)=那覇市・よしもと沖縄花月 映画「洗骨」の一場面(©「洗骨」製作委員会)

 妻を病で亡くし、抜け殻のようになった主人公を演じた奥田は、映画を「家族の話でありながら、不思議な世界観を持っている」と評する。一方の照屋監督は「洗骨という文化をハートフルなコメディーとして仕上げたかった」と温めていた構想を形にした。

 新城家の母・恵美子(筒井真理子)の死をきっかけに、県外で暮らす長男の剛(筒井道隆)、長女の優子(水崎綾女)が島に帰ってくる。家族は4年後、風葬をした骨を洗う島の儀式「洗骨」を開くため再び島で再会するが、それぞれに悩みを抱えており、心はバラバラな状態だ。

 映画は照屋監督による2016年の短編作品「born、bone、墓音。」を基に長編化した。照屋監督は「粟国島の洗骨文化を初めて知った時、祖先からの命のリレーに、子や孫が感謝する意味が込められているな」と強く感じた。一方で「骨を水で洗うことは苦しいこと。だけど芸人が撮るからには笑えて泣ける映画を作りたい」とのひらめきも同時に浮かんだ。

 主演のオファーを受けた奥田は「なぜ自分なのかと聞いて『目です』と言われた。役者は目のことを言われると、どこかしびれる。それは人が持っている一番重要なものだから」。照屋監督の熱意に打たれた面も大きかった。

 信綱は妻を亡くしただけでなく、息子からも信頼を失いかけており、その目は生気を失っている。「『負け組』の奥田瑛二さんなんて、なかなか見られないですよ」と照屋監督。奥田は「どう生きている人なのかを掘り下げる。それは奥田瑛二を捨てること。役者の自尊心を預けるほど(監督を)信頼した」と話す。

 映画のクライマックス、洗骨の場面に向かうにつれて家族は心を通わせる。奥田演じる信綱の目も、次第に輝きを取り戻す。照屋監督は「4年ぶりに家族が集う場面。そこは子どもが頭蓋骨を驚くわけでもなく、ほっとするシーン」と紹介する。

 奥田は「ひつぎのふたを開けることで、妻ともう一度交流できる。それは魂の交流かもしれない。不思議な感覚に包まれた」と振り返る。

 撮影期間中は漁港で地べたに座り、波の音や潮風を感じながら缶ビールを傾けた。「何とも言えないぜいたくな時間」(照屋)。「楽しかったー」(奥田)と両者ともに表情をゆるめた。照屋監督は「沖縄の映画だから、やっぱり沖縄から。まず粟国島で喜んでもらって、次に沖縄、日本の順番でいくのが道筋だと思う」と沖縄先行上映に並々ならぬ意欲を見せる。

 製作は「洗骨」製作委員会(吉本興業、ファントム・フィルム、朝日新聞社、沖縄タイムス社)。

 沖縄での上映はシネマQ、ライカム、ミハマ、サザン。

12月17日 シネマQで試写会 鑑賞券50組プレゼント

 映画「洗骨」公開記念プレミア試写会が12月17日午後6時半、那覇市のシネマQで開かれる。鑑賞券を50組100人にプレゼントする。

 当日は出演者の舞台あいさつもある。照屋年之監督、奥田瑛二、筒井道隆、水崎綾女、山城智二、福田加奈子、古謝美佐子らが登壇する。

 希望者はハガキに住所、氏名、年齢、連絡先を明記の上、郵便番号900-0016 那覇市前島3の25の1 泊ふ頭旅客ターミナルビル3F よしもとエンタテインメント沖縄内・映画「洗骨」事務局まで応募する。12月3日必着。

 当選者にはDMで招待状を送付する。