リウマチや糖尿病、事故などで足が変形したり欠損したりした人向けの「整形靴」づくりに、沖縄県内老舗の製靴店「大田製靴店」(那覇市松尾)の3代目店主・大田守誠さん(33)と妻千香さん(32)が取り組んでいる。ともに日本義肢協会認定の靴型装具製作者で、県内では「ほかにいないはず」(守誠さん)という。2人は「歩きたくなる、外出したくなる靴を作っていきたい」と話している。(社会部・浦崎直己)

「履きたくなる整形靴を作りたい」と話す大田守誠さん(右)と千香さん=那覇市松尾・大田製靴店

先天性疾患で足が内側に変形している車いす利用者向けに製作中の靴。足首からすね部分は変形の進行防止のため硬い素材を入れ、介助者が履かせやすいようにつま先部分も開くようにした

「履きたくなる整形靴を作りたい」と話す大田守誠さん(右)と千香さん=那覇市松尾・大田製靴店 先天性疾患で足が内側に変形している車いす利用者向けに製作中の靴。足首からすね部分は変形の進行防止のため硬い素材を入れ、介助者が履かせやすいようにつま先部分も開くようにした

約3カ月かけ

 整形靴は治療や症状軽減のほか、リハビリや日常生活の補助、矯正などに使われる。

 ギプスで足の型を取った後、土台となる木型でプラスチック製のチェックシューズを試作。革製の仮合わせ靴で試し履きし、性能やデザイン、ゆとりや圧迫感を確認しながら、約3カ月かけて仕上げる。

 左右の足の長さが異なる場合は、靴底やインソール(中敷き)で高さを調整。変形予防や歩きやすさのため、足首部分に硬い素材を入れることもある。

デザインも重視

 守誠さんは「靴づくりの幅を広げよう」と神戸市の専門学校に25歳で進学。県外の義肢会社やオーストリア人の整形靴マイスターの下で計4年間修業した後、2017年3月に沖縄に戻り、1年ほど前に夫婦で整形靴の受注を始めた。これまで10足以上を製作している。

 こだわりは機能を保ちつつ、デザインを重視した靴を作ること。客が持参した靴の写真などを参考にしながら、要望をできる限り反映させる。「履きたくなる靴じゃないと意味がない。妥協せず、機能的にもしっかりしたものを作る」と力を込める。

助けられる店に

 ドイツでは医師が整形靴やインソールを処方するなど一般的に利用されているという。日本でも健康保険が適用される場合もあるが「そもそも整形靴の存在を知らない医療従事者も多い」と指摘する。

 実家の製靴店は来年で創業90年。「足や靴で困ったときに助けられる店になりたい」と意気込む。

 整形靴の製作は、一般の紳士靴と同じ1足15万円から。インソールは1足2万8千円。問い合わせは同店、098(866)6453。