「医療的ケア児」の保育や教育を受ける権利をどう保障していくのか。保護者の負担を減らすにはどうしたらいいのか。親子を孤立させないための支援体制の整備が急がれる。

 医療的ケア児とは、鼻からチューブを通して栄養をとる経管栄養や気管切開に伴うたん吸引など、日常的に医療を必要とする子どもたちのことである。

 厚生労働省の2016年の推計によると、19歳以下の医療的ケア児は全国に約1万8千人。この10年で倍近くに増えている。

 かつては出産直後に命を落としていたケースでも、医療技術の進歩で助かる命が増えたのだ。

 一方、文部科学省の17年のデータでは、幼稚部から高等部まで公立の特別支援学校に在籍する医療的ケア児は8218人(沖縄は138人)。公立の小中学校へ通うのは858人(同11人)にとどまっている。

 保育所や幼稚園の利用となると2割ちょっとという調査結果もある。

 映し出されるのは、医療的ケアが理由で当たり前の権利を行使できず、仲間と接する機会を奪われている子どもの姿だ。学校に通えた場合でも「保護者の付き添い」が条件となるなど、家族が負担を強いられるケースが少なくない。

 憲法や子どもの権利条約などによって、全ての子どもは等しく保育や教育を受ける権利が保障されているにもかかわらず、通園・通学の壁は高い。

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 なぜ受け入れが進まないのだろう。

 課題はケアのための人材の確保だ。医療的ケアは、看護師のほか研修を受けた保育士や教員にも認められているが、看護師の配置は特別支援学校以外では十分ではなく、ケアの担い手も不足している。

 16年に改正された児童福祉法は、自治体が医療や福祉分野などと連携し、医療的ケア児の支援に努めるよう定めている。

 文科省が今年5月に中間まとめを行った学校現場の医療ケア対策では、保護者の付き添いを「真に必要と考えられる場合に限るよう努めるべきだ」と指摘している。

 常に母親がそばにいたのでは本人の自立の妨げにもなりかねない。子どもが子どもらしく同世代と一緒に育つ環境整備は大人の務めだ。

 看護師の配置やケアを学ぶ研修などに国の積極的な財政支援を求めたい。

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 県内の医療的ケア児は今年6月の調査で少なくとも207人いることが分かっている。未就学児で潜在化しているケースがあるとみられ、県は実数把握に乗り出す考えだ。

 沖縄は小さな離島が多く、医療・福祉サービスが十分でない地域もある。県民所得の低さや母子世帯割合の高さを考えると、保護者が生活とケアに追われるというより深刻な状況も想定される。

 医療的ケア児の把握と同時に、親子が何に困っているのかのニーズを丁寧に聞き取り、必要な支援につなげてもらいたい。