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「マツダのブランド戦略」を読み解く 安里睦子氏(ナンポー社長)

2018年11月21日 14:00
安里 睦子
安里 睦子(あさと むつこ)
ナンポー社長

1972年生まれ、宜野湾市出身。2010年にナンポー通商(現・ナンポー)企画部長、14年に常務を経て16年から現職。18年からちとせ印刷の社長を兼任。

 マツダのブランド戦略が加速している。2010年、マツダデザインの核として「魂動(こどう)-Soul of Motion」を打ち出して以来、海外でも高い評価を受ける。「デザインがブランドを、会社を変える」─これを地で行くのが今のマツダだ。(2017年日経デザイン)

デザイン変え、価値を創造

 企業のブランディングが注目される今、最も自動車業界において異彩を放っているのがマツダだ。ここ5~6年で、街中で格好良いきれいな赤い車をよく見かける。「あっ、あの車格好良い!どこの車だろう」と何度思ったことか。

 2010年にマツダのデザインコンセプトが変わった。「魂動(こどう)」をデザインテーマにし、それぞれの車種をモデルチェンジした。車の造形美を徹底して求め、マツダ独自の色にこだわり、車種・店舗共にブランディングで価値を上げ、斬新だった。

 弊社も2016年2月に主力商品である「べにいもたると」のパッケージをブランディングで変えた。以前、県外で弊社のお菓子を売り込みたいと意気込み、東京のある会社を訪ねた。数あるたくさんの東京菓子の上に「べにいもたると」を置かれ、「ナンポーさん、ここにあるオシャレなお菓子と勝負できますか?」と聞かれ、私は何も言い返せなかった。「沖縄の田舎臭さを脱皮できないと無理だよ」と告げられ、勝負の土俵にさえ上がれない現実を突きつけられた。

 恥ずかしさと悔しさ、また社員や沖縄に対しての申し訳なさは、今でも忘れることはない。ある経営者に相談したら、やはり同じことを指摘され「ブランディングしなさい」と助言を受けた。

 すぐさまブランディングに向かいスタートしたが、一番売れている商品のパッケージをわざわざ変えることは、ものすごい勇気と決断が必要だった。つまり社運をかけた一発勝負を挑むわけだから、もちろん社内から猛反対された。決断したものの、急に怖くなり何度も挫折しそうになった。“あの羞恥心を社員に味わわせたくない”その一心で反対を押し切り、自分を奮い立たせた。弊社の強みは何か、将来どうありたいかを考え、そこでたどり着いたのが今のパッケージ。今までの沖縄テイストから、上品さを出すように、黒を基調にお菓子に使用している沖縄素材の色を使用したストライプで、洗練したデザインにした。

 また、コーポレートカラーは、“たるとシリーズ”の色を全て入れ込んだカラフルな大きさの異なるストライプ。それには社員の多様性を生かし、同じ方向に進もう! という思いを込めた。最初は受け入れてもらえず苦戦したが、今ではプラスの評価を受けている。今までの沖縄らしさを捨てた時、沖縄の格好良さが見えてきた。あの時の悔しさが、今ではブランド価値を変革する最高のチャンスだったと思える。

 マツダの徹底したデザイン戦略は、とても刺激を受けたブランディングのいい事例だった。

★新企画「ニュースナビプラス」とは? 百貨店やコンビニなどを抱える小売業大手の会長、人工知能(AI)を研究する大学教授、スイーツ開発・販売業社長、旅行会社のシンクタンク社長、仕出し店とIT企業を経営する若手社長の5氏が、それぞれの専門的な知見を基に、国内外の気になるニュースを読み解きます。

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