虫歯の早期発見・治療が目的の学校歯科検診で、歯科受診を促された児童・生徒の7割超が未受診だったことが明らかになった。12歳児の永久歯の1人当たりの平均虫歯本数が全国最多の沖縄。背景に親の厳しい就労環境など貧困を指摘する声がある中、県も未受診率の改善に向けて独自の取り組みを模索する。(中部報道部・篠原知恵)

口腔崩壊状態にある9歳男児の口内(全国保険医団体連合会提供)

低所得世帯は原則無料だが…

 「母子家庭で母親が夜勤のため、寝る昼間は歯科に連れていけない」「児童が、歯科に行きたいが親が忙しすぎて連れていってもらえないと訴える」-。県保険医協会が養護教諭らに実施したアンケートには、窮状を伝える記述が並ぶ。要保護や準要保護など低所得世帯は学校側の配る医療券で治療は原則無料だが、制度が必ずしも受診に結び付くとは限らない実態が浮かぶ。

 2016年度の県の調査でも、医療券配布の対象世帯の未受診率は小学校で72%、中学校80・1%と、援助を受けていない児童・生徒とほぼ変わらない高さだった。アンケートで「医療券の発券が遅い」「申請に手間が掛かるため簡素化が必要」との指摘もあった。

 また「医療券のない家庭は歯科治療が後回しになる傾向がある」など、窓口負担をなくすよう訴える意見も多かった。

全国ワーストの虫歯本数

 文部科学省の17年度調査で、県内12歳児の永久歯の平均虫歯本数は1人当たり1・7本。歯科教育の充実などで改善傾向にあるものの依然、全国平均(0・82本)に比べ高く、全国ワーストだ。歯垢(しこう)が相当付着したり、歯肉の診察が必要だと判断されたりした児童・生徒の割合も高止まりする。

 県は17年度、「歯と口の健康づくり推進計画」を初めて策定した。試験的に保護者向けの歯科講話などを始めている那覇市の天妃小学校と上山中学校では、16年度85・9%(天妃)、86・7%(上山)だった未受診率が取り組み後の17年度はそれぞれ73・8%、64・4%と大幅に改善した。

 県は今後も3年計画で受診率向上のほか、虫歯や歯周疾患の未然防止に向けた啓発活動を加速させるという。

小中学生の窓口無料化を

 県保険医協会理事で照屋歯科医院(沖縄市)の照屋正信院長の話 アイスクリームなど甘いものの県内消費量は全国最低水準で、学校での給食後の歯磨きや、虫歯に効果があるフッ化物洗口(フッ素うがい)の実施率は全国平均並みだ。

 虫歯を引き起こすとされる主な要素に大きな問題がないのに、12歳児の虫歯罹患(りかん)率が全国1位なのはなぜか。データのそろった18府県の数値を検証すると、子どもの貧困率が高い府県ほど未受診率も高く、虫歯罹患率に貧困の要素が絡んでいる傾向が示された。

 県内は医療費の自己負担ゼロの流れが進むが、通院時に窓口での自己負担が一切発生しない「現物給付」方式を小中学生ともに導入している市はない。一時的でも窓口で発生する現金負担は受診控えを招く一因になっている。

 親の意識の低さなど多様な要因もあるが、まずは金銭面の心配なく誰もが安心して治療を受けられるよう多く市町村で小中学生の窓口無料化を進めてほしい。