沖縄県うるま市平安座島の東海岸に面し、約280年前のものとみられる古墓の調査が22日、始まった。古墓は「トゥダチ」と呼ばれ、沖縄国際大学の宮城弘樹講師(考古学)、平安座自治会、市教育委員会が協力して24日まで調査する。これまで門中が定期的に拝んできたが、納められている厨子(ずし)がめ(骨つぼ)の数や年代などの詳細は不明で、地元は「謎が解明される」と期待を寄せる。
地元「ロマン感じる」 沖国大講師ら調査
トゥダチは断崖の壁に三つの横穴が掘られており、それぞれ独立している。空墓を除いた2基は入り口が石で封鎖されており、今回はそのうちの1基を開けた。21年前にも墓が開けられたが、その後再び封鎖されており、学術的な調査は初となる。今回は予備調査として墓の中の広さや厨子の数と配置、銘書(みがち)という厨子に記された氏名や洗骨年代などを調べる。年度内に地元に中間報告をして、次年度から本格的な調査に入る予定。
宮城講師によると、トゥダチの調査は琉球列島の墓調査プロジェクトの一環。宮城講師は「地元と相談しながら丁寧に調査を進め、歴史を読み解いていきたい」と話した。
平安座自治会によると、かつて平安座には45の門中があったとされ、18程度の門中が旧正などの際にトゥダチを拝んでいるという。五嶋眞智子自治会長は「どうしてこの場所に墓を造ったのかなど詳細が分からず、ずっと謎に包まれていた。調査によって解明が進むのはうれしい」と期待する。川之上門中の玉栄章宏さん(65)は「トゥダチについては拝む場所としか教えられておらず、いきさつも分からなかった。歴史のロマンを感じている」と語った。