何をもって人の死とするのか。

「人魚の眠る家」の一場面

 プールで溺れ、脳死状態に陥った娘の両親に、医師が脳死判定を受ければ臓器提供ができると控えめに促す。温かい娘の身体を前に母は延命治療を望み、父は最新技術で娘の身体を動かそうとする。母親の愛は周りを巻き込んで次第に狂気をはらんでいく。

 身内が突然倒れ脳死状態に陥った時、もう回復の見込みはないと医者に宣告された。

 本人が延命治療は必要なし。と明言していた事もあってほとんどの者がその意思に沿うことを望みながらも、まだぬくもりの残るその身体に微かな奇跡も期待した。通夜の折、その手の冷たさは大きな悲しみと共に奇妙な安堵(あんど)をもたらしたものだ。

 “何をもって人の死とするのか”の答えは、失った人の心の中だけにさまざまに存在する。(スターシアターズ・榮慶子)

シネマライカムで上映中