ハワイで観光施策を担うハワイ・ツーリズム・オーソリティー(HTA)はこのほど、2017年の観光客数が940万4346人だったと最終発表した。HTAによると、今年1月に発表した暫定値938万2986人から約2万人の修正となり、空路・海路で遅延や欠航などの明確な数値が報告されていなかった。この結果、沖縄県の17年の観光客数939万6200人を上回り、沖縄の観光客数の「ハワイ超え」は持ち越された。両地域とも過去最高の観光客数となった一方で、地元住民が観光の好影響を享受できていない類似の課題もある。(政経部・仲本大地)

観光客でにぎわう那覇市の国際通り(2017年9月)

ハワイ住民の観光に対する意識調査

沖縄県民の観光に対する意識

観光客でにぎわう那覇市の国際通り(2017年9月) ハワイ住民の観光に対する意識調査 沖縄県民の観光に対する意識

観光客の増加と反比例

 県が7月に発表した沖縄観光についての県民意識調査の結果では、沖縄の発展に観光が重要な役割だと回答した割合が8割超だった。しかし、「観光が発展すると生活も豊かになるか」との問いには「あまり思わない」「まったく思わない」と回答した割合が計37・1%で、「とても思う」「やや思う」の計29・1%を上回り、観光の好影響が県民に浸透していないことが明らかになった。

 また、HTAが実施しているハワイ住民への意識調査によると、「観光が課題よりも利益をもたらしているか」との問いに「思う」と答えた割合は10年の8割をピークに低下。観光客数過去最高を記録した17年は61%と、観光客の増加と反比例する形となっている。

 沖縄とハワイの観光市場を分析・研究しているりゅうぎん総合研究所(那覇市)の久高豊専務は、両地域では観光の重要性を理解しているものの、観光客の増大による交通渋滞や人の混雑など共通の課題を抱えていると指摘する。

住民が恩恵を享受できず

 また、ハワイでは過去最高となった観光消費額168億ドルも喜べる状況ではないとも説明。背景には、観光客向けの価格設定などによる物価の上昇がある一方で、地元住民の収入増につながっておらず生活を圧迫しているという。

 HTAはこの現状を問題視しており、観光客数や観光収入を追い掛けるマーケティングから、住民が観光の恩恵を享受できるマネジメントへ方針転換を図っている。

 久高専務は観光収入のアップを目指す沖縄も同様の傾向に陥る可能性があると危惧。その上で、「両地域にとって基幹産業といえる観光の恩恵を住民と共有し、観光客と共生できる環境づくりを競い合うべきでは」と提起した。