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「デマやヘイトを放置した結果が今に」 ファクトチェックの意義、山田教授に聞く

2018年11月25日 05:00

 近年、誤った情報や誤解を招くような発言を基にした「沖縄像」が拡散し、定着しつつある。背景には何があるのか。ジャーナリズムや言論法に詳しい専修大学の山田健太教授に聞いた。

「デマ」が拡散する中、「ファクトチェックの意義は大きい」と語る山田健太教授=月5日、東京都千代田区の専修大学神田キャンパス

 -インターネット上でさまざまな言説が飛び交っている。

 「2007年以降、SNSが発達する中で、インターネット言説というのが一定の大きな力を占めるようになった。あるいはデマや風評が非常に速いスピードで拡散し、当初段階では若者層を中心にそういうネット言説が拡散して、ある種の偏向イメージが拡張、定着した時代があった。それに対して、マスメディアがそういううそはほっとけばいいという感じがあった」

 「例えば、ヘイトで言えば07年ごろの在特会、あるいは『沖縄神話』といわれるさまざまな誤った情報について、10年ぐらいから出始めた時は放置していたと思う。結果としてネットを中心に拡散し、定着し、一般化していった。それが今の偏向批判、沖縄ヘイトにつながり、その状況が強まってきている」

 -安倍政権の影響は。

 「政府が情報をコントロールしたいのは当たり前だ。それをどううまく使われたかということだ。メディア批判が(安保関連法や個人情報保護法などの)新規立法につながり、新規立法によってより行政圧力が強まる。それをみてさらに一部の市民が声を上げるという負のスパイラルが安倍政権になってから顕著になっている。それは、より露骨に政府が一定のメディアを批判することによって、求心力を高める意味合いもあった。原発にしろ基地問題にしろ、政府方針に対する異論を排してきた。同時に、政権寄りの言説については非常に優遇し、肯定的に扱ってきた。硬軟使い、メディア戦略をこれまでの政権以上にうまく使ってきているのが安倍政権だ」

 -ファクトチェックは有効か。

 「知事選でファクトチェックを沖縄紙ができたという意味合いは大きい。選挙が前倒しになり、準備時間は短かったが、実績があったのでできたと思う。『沖縄神話』に対して反論してきたことや、『フェイクニュース』を放置すると、それが真実化するということの苦さをよく知っている。今の東京メディアではできなかったことだ」

 -「偏向報道」との声もある。

 「政府批判を偏向報道と呼ぶのが部分的に定着している。辺野古の新基地建設を含め、政府と県民の方針にずれがあって、より沖縄のメディアや県が、政府に対する批判色を強めている構図の中で、偏向批判が厳しくなり、むしろ沖縄ヘイトに近い状況といわれるようになっている。主張も非常に際立っており、それが量的な平等に反しているのではないかとの批判につながっている」

 -基地問題の記事が多いのは事実だ。

 「唯一の地上戦を体験し、基地が継続的に存在していて、なおかつ生活に与える影響が拡大しているという状況がある。その前提条件があるのは大きい。地方のニュースを中心に伝えるのが一般的な県紙が、住民の命や健康に関わる情報は大きな扱いするのは当然だから、今の沖縄にとり、事件・事故や命に関わる問題として基地問題が多くならざるを得ない。ジャーナリズムの必然に沿った、普遍的な紙面作りと言える」(聞き手=東京報道部・大城大輔)

12月2日、那覇でトークイベント

 山田健太教授の著書「沖縄報道~日本のジャーナリズムの現在」(筑摩書房)の刊行記念トークイベント「沖縄ジャーナリズムを語る~日本初『ファクト・チェック』の挑戦」が来月2日午後3時から、那覇市牧志のジュンク堂書店那覇店で開かれる。

 山田教授のほか、沖縄タイムスの福元大輔記者、琉球新報の吉田健一記者が沖縄での取材の現状、9月の知事選でのデマやフェイクニュースに関する報道について語る。

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