沖縄ファミリーマートの店舗に設置された、しまくとぅばであいさつするATMが増えている。「沖縄らしさがあって楽しい」と観光客にも人気で、現在320台まで増設。今年2月には宮古、石垣の店舗でそれぞれのしまくとぅばのサービスも始めた。沖縄での人気を受け、各地の言葉を話す「ご当地言葉ATM」として8府県に展開しており、全国的な広がりもみせている。(政経部・照屋剛志)

しまくとぅばであいさつする「ご当地言葉ATM」と声を担当した仲田直子さん(右)と五月女友彦調査役=日、那覇市内

 「はいたい、めんそーれ」「にふぇーでーびる。またん、めんそーりよー」

 沖縄ファミリーマートの県内地銀や本土銀行の口座が利用できるATMは、明るく元気のよい女性の声があいさつで来店客を出迎える。

 ATMを管理する琉球銀行の五月女友彦調査役は「地域色が出て、地元客には安心感がある一方、観光客からは沖縄らしい地元感があって楽しいと評判がいい」と話す。幅広い人気を集め、今では沖縄ファミマのほぼ全店舗にあたる320店に設置されている。

 きっかけは那覇市が2012年から取り組む「ハイサイ・ハイタイ運動」。しまくとぅばの普及に協力しようと、全国でATMの設置を手掛けるイーネット(東京)が琉銀にサービスを提案した。

 イーネットの西堀克利営業統括部長は「もともとあった音声サービスをアレンジすれば、地域に貢献できるとひらめいた」と発案の経緯を振り返る。「沖縄の言葉は独特なので、観光客にも喜ばれ、多くの方に楽しんでもらえると思った」

 声の主には、琉銀の仲田直子さんを抜てき。日頃から明るく職場のムードメーカーの仲田さん。株主総会の司会も務め、声の通りも良いと選ばれた。

 仲田さんは「しまくとぅばは、これまで意識したことがなかった。父の前で練習してイントネーションなどを確認してもらった」と打ち明ける。

 それでも、専門家が立ち会った録音では何度も取り直した。「ちゃんとしたしまくとぅばを覚えなければ」と痛感したという。

 12年7月に全国初の「ご当地言葉ATM」としてサービスを開始。西堀部長の期待通りに人気が出たため、18年には宮古と石垣でも導入した。宮古では「んみゃーち」、石垣は「おーりとーり」とお出迎え。ATMを利用すると、「たんでぃがーたんでぃ」(宮古)、「にーふぁいゆー」(石垣)と感謝を伝える。

 沖縄での評判が口コミで広がり、他県でもご当地言葉のサービスを求める声が相次いだ。今では京都や福岡、宮崎、高知など8府県で1865台が稼働している。

 西堀部長は「各地の文化を楽しんでもらいながら、地域活性化にもつながっている。沖縄で生まれたアイデアが全国に普及している」と今後の広がりにも期待した。

 五月女調査役は「ATMだからこそ、しまくとぅばを身近に感じてもらえるきっかけになっている。沖縄の文化振興も支えたい」と話した。

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しまくとぅばであいさつする「ご当地言葉ATM」と声を担当した仲田直子さん(右)と五月女友彦調査役=13日、那覇市内