第558回沖縄大学土曜教養講座「沖縄からブラックバイト・ブラック労働問題を問う」(主催・沖縄大学地域研究所)が24日、沖縄大学アネックス共創館で開かれた。若者からの労働相談を受けるNPO法人POSSEの今野晴貴代表ら4人が講演し、来場者約60人が熱心に聞き入った。

来場者からの質問に答える今野晴貴さん(右)らパネリスト=24日、那覇市国場・沖縄大学アネックス共創館

 今野さんは「ブラック企業では、正社員なのに次々に辞めさせられる」と説明。POSSEに寄せられた相談から、正社員として若者を大量に雇用するも、長時間労働などで精神的に追い詰め自己退職させる事例を紹介した。脱法もいとわず戦略的に社員を解雇させる企業もあるとし、対抗するには「権利を行使するしかない」と強調。「労働組合、市民団体が被害者の支援をさらに徹底すべきだ」とした。

 沖大法経学部の島袋隆志准教授は、県内雇用の現状を説明。2017年就業構造基本調査によると、非正規雇用は年収150万円未満の層が最多で、正規雇用では250万円未満と400万円未満の層が多かったとした。非正規雇用で年収150万円を稼ぐには、最低賃金で計算すると月21日、1日に約8時間働くことになり、実質的にはフルタイム労働と変わらない「疑似パートタイム労働」になっていると指摘した。

 那覇市にある、のぞみ法律事務所の金高望弁護士はブラック企業の定義の一つとして、ブラック企業被害対策弁護団が示す「違法な労働を強い、労働者の心身を危険にさらす企業」を紹介。県内でもネイルサロンで、美容系専門学生を研修として時給500円以下で雇っていた事例があるとし、「企業は公正なルールの下で競争すべきで、労働者側も権利意識を持つための教育を」などと訴えた。

 NHK沖縄放送局の落合洋介ディレクターは、県内の学生が飲食店の客引きをする「キャッチ」として完全歩合制で働いている現状を説明。客引き行為は新宿などでは条例で禁止されており、「観光客の急増に伴い、違法労働が県内に持ち込まれているのでは」と提起した。

 聴講した沖大3年生の當間陸哉さん=那覇市=は「キャッチが県外では違法と知らなかった。労働に関する権利を学ぶのは大事」と話した。