迎えてくれた巨大な顔は正直、不気味で、何か見透かされているような感覚に襲われた。先月、1970年に開かれた大阪万博の象徴「太陽の塔」を疑似体験できる展覧会に足を運んだ

▼当時のまま組み立てられた塔頂部の初代「黄金の顔」と地下にあった第4の太陽と呼ばれる「地底の顔」の復元など。興味深い内容だったが、「人類の進歩と調和」のテーマには結びつかないような違和感もあった

▼プロデュースした芸術家の故岡本太郎さんは、「人類は進歩なんかしていない」とメッセージを発したという。近代科学・工業の発達が真に生活を充実させているのか、人間的・精神的な前進なのかとも

▼お祭り色の強い万博で、突き進むだけの進歩に疑問を投げ掛けたのが、あの「顔」ではなかったか。高度成長を皮肉っぽく、冷ややかに見つめる。展示会での違和感はそれだったと思う

▼2025年の万博の大阪開催が決まった。地元は歓喜に沸き、観光や建設など経済波及効果に期待がかかる。テーマは「いのち輝く未来社会のデザイン」。健康、医療に関する技術貢献を目指すというが、ピンとこない

▼万博の理念でもある人類共通の課題解決に向け、未来社会を描くためにどう知恵を出し、貢献していくか、明確なビジョンを提示してほしい。太陽の面々もみている。(赤嶺由紀子)