教室ほどの広さの部屋に掲げられた120インチスクリーン。暗闇に深いソファや高いいすが20席ほど並ぶ。沖縄市の胡屋十字路近くの2階にあるシアタードーナツ。4年目を迎える街の映画館である

▼「作り手が伝えたいメッセージが必ずあり、人々に届くことで映画は初めて完成する」。沖縄市で生まれ育った代表の宮島真一さん(45)の映画への思いは熱い。制作の裏方を経験し、苦労を知るだけに完成へのこだわりは人一倍

▼どんな作品もエンドロールに「シアタードーナツ」の名が流れてるとの心意気で丁寧さを心掛ける。上映前にお客さんに「前説」し、魅力が届きやすいよう工夫する日々だ

▼原点は小学4年。母と妹とバスで那覇の国映館に行き「E.T.」に心を揺さぶられた。面白い作品のチラシを手に学校では友だちや先生に薦めた

▼人と人、人と街をつなぐコミュニケーション・ツールの力がある。認知症と音楽がテーマの「パーソナル・ソング」は介護職員が貸し切り上映して理解を深めた。余韻が冷めぬまま街に出てシーンを語り合えば人の輪も広がる

▼忙しいと思ってる人ほど見てほしいと宮島さんが薦める「人生フルーツ」は老夫婦のスローライフを描く作品だ。きょうは映画の日。たまには携帯電話の電源を切り、非現実の空間で新しい世界へと身を委ねよう。(溝井洋輔)