脳卒中は脳血管が閉塞(へいそく)する、または破綻して出血する病気です。症状の出現は突然で、その日時の特定が可能です。気が付いたら症状の軽い重いにかかわらず、迷わず救急病院へ直行しましょう。重症化しないために、迅速な対応が最も大切です。

 脳卒中にほぼ共通する症状は運動障害です。しゃべりにくい(構音障害)、右手または左手が動かしにくい、右足または左足を引きずる(片麻痺(まひ))です。これらの症状は軽いものから重いものまでさまざまです。

 運動障害が軽い例では「なんとなくしゃべりにくい」、「字が書きにくい、箸や茶わんが持ちにくい」などがあります。また、意識障害、頭痛、めまい、感覚がないなど、他の症状を合併しないことが多いのも特徴です。

 運動障害が軽い患者さんの多くは、病院で受診せず、運動麻痺が自然に回復するのを待とうとしてしまいます。重症化して、ようやく数日後に来院される方が後を絶ちません。中には運動障害を改善させることが困難なケースも少なからず含まれてしまいます。

 軽い運動障害が急に出現したとき、脳卒中かどうかを判定する簡単な検査方法を二つご紹介します。

 一つ目は「イキジビキ(生き字引)」と言ってみましょう。日頃滑らかに言えるのに、突然うまくしゃべれなくなったら異常です。

 二つ目はバレー試験です。両手を前に「前に倣え」の姿勢から、両てのひらを天井に平行に向けた状態で静止し、3秒間目を閉じましょう。目を開けた時、片方の腕が、反対側の腕と比べて下がっていたら異常です。

 いざという時のために、この二つの簡単な検査方法を練習しておくとよいでしょう。

 脳卒中の治療は大幅に進歩しています。しかし、数日後に症状が悪化したケースを回復させる方法はまだ確立していません。脳卒中治療の「時間の壁」を克服するには、患者さん、周囲の方の気付きと1秒でも早い対応が何よりも必要なのは、今も変わりません。(伊佐勝憲 伊佐内科クリニック)