輪になって歓談しながら弁当を頬張る一団。「ゴリヤニン・ユニット」は、沖縄科学技術大学院大学(OIST)の多様性を象徴するかのようなユニークな研究チームだ。メンバーは、出身国も経歴も異なる15人。科学者だけでなく、発明家、起業家がいて、科学者の中にも生物、化学、工学に物理と分野は多岐にわたる。そして、すこぶる仲がいい。毎日集まってお昼を食べている。

メンバーの和気あいあいとした昼食風景。上列左から3人目が貝沼真美博士、7人目がアンナ・ポロホロヴァ博士(OIST提供)

 昨年10月にチームに加わったアンナ・ポロホロヴァ博士(ロシア出身、環境工学)は「研究室では仕事の話ばかりでも、お昼時間はそれぞれの国や文化の話をする。リラックスして話すうちに、研究の新たなアプローチにつながるアイデアをもらえることもある」と、その醍醐味(だいごみ)を語る。

 イゴール・ゴリヤニン教授(英国出身、システム生物学)が率いるOIST生物システムユニットは、微生物群の力を使って工場などから出た排水や汚染土壌をきれいに処理する「生物電気化学システム」と呼ばれる技術を開発。中小事業所やコミュニティーの課題解決につなげようと、チーム一丸でプロジェクトを進めている。近い将来の商業化を目指しているため、プロジェクト管理者やマーケッターも仲間として加わる。

 メンバー間の潤滑油となっているのが、グループリーダーの貝沼真美博士(茨城県出身、微生物学)。米国各地で長く研究してきたが、沖縄にある国際マングローブ生態系協会でマングローブの生態調査や植林活動をしていたこともある。沿岸防波や二酸化炭素吸収材として役立ち、豊かな生態系を成り立たせているマングローブに関わったことがきっかけで、環境問題に興味を持つようになった。

 システムの特徴は、低コストでエコな、持続可能な排水処理。県内の泡盛醸造所や養豚施設などと共同で、産業界のニーズに応える技術研究をしている。目指すのは、水を取り巻く諸問題(汚染、水不足など)の解決。自然を守り、持続可能な環境作りに貢献していくことだ。

 ポロホロヴァ博士も沖縄に来て、環境問題をより身近に考えるようになった。海に魅了されダイビングを楽しみ、サンゴ礁で出会う生物たちに詳しくなった。台風後の海に潜り、その破壊力を目の当たりにもした。沖縄の宝であるサンゴ礁を水質面で保護することにつながる、自身の研究に誇りを感じている。(OIST広報メディアセクション・大久保知美)

両博士は12月14日午後6時半~7時半、ジュンク堂書店那覇店で、環境問題解決に貢献する排水処理研究について講演する。入場無料。予約不要